私は2023年6月23日から7月3日まで職場のリフレッシュ休暇とかいう制度を利用してニュージーランドに行ってきました。その時に気づいたことなどはこのブログの「一人旅」ジャンルに記事化しています。

滞在中に面白いと思ったのが、ニュージーランド交響楽団のナショナルユースオーケストラの演奏するエルガーの『エニグマ変奏曲』をオークランドで聴いたことです。課題曲はしょっちゅうこれらしく、エルガーがリスペクトされているあたりニュージーランドもまたやはり英連邦の一員なのだということを意識させられます。もちろん、エルガー特有の奥歯に物が挟まったような響きもバッチリ再現。ニュージーランドでエルガーを堪能する日が来ようとは。そしてコンサートミストレスはまさかの日本人でした。多分この日のコンサートホールで日本人はこの人と私だけだったでしょう。

それはともかく、国内旅行なら札幌だろうが釧路だろうが諏訪湖だろうがヴァイオリンを携えてカラオケボックスで1日3時間は練習する私ですが(でも一体何のための旅行だろう)、海外旅行となるとさすがにそれはムリ。というわけで23日は出発直前まで練習し、その後10日にわたり練習できませんでした。
7月4日朝にヴァイオリンをケースから取り出してみると、一体何が起こっていたのか・・・。


10日ヴァイオリンを練習しなかった結果

ヴァイオリンをケースから取り出してびっくり。ハイドンのように驚愕しました。
いい香りを放つために(だって、ケースが臭かったら嫌でしょう?)入れておいたサシェがヴァイオリンの背中にへばりついているではありませんか。たぶん暑さとか湿気のせいでしょう。このときの東京の最高気温は32度。オークランドの最高気温は16度でした。帰国してから暑いのなんの・・・。

ベリベリっと剥がしましたが、ちょっと糊の跡が付いてしまいました。後で職人さんにメンテナンスしてもらおうっと。

というわけで最初はスケール。しかしグダグダ。これはやばい。指と指の間隔をどれくらいキープしたら良いのか、その感覚がぼやけています。まずい。

そう思いながら(よしておけばいいのに)重音奏法。3度。揃いません。でも出勤前の練習ということもあり、時間に限りがあるので「まいっか」と今度は6度。これも揃いません。仕方ない。オクターブ。これは行けるだろう。ムリでした。全部だめ。

その後はベリオの「バレエの情景」。どんな曲だったか一瞬思い出せず、戸惑いました。ああそうだった、こういう曲だった・・・。

「こういう曲だった」、とか思いながら弾くくらいですからそりゃ形になりません。接着剤がいまいち固まらないプラモデルのように崩壊寸前の音です。リズム感が無く、抑揚は不自然。ややこしいリコシェの前では「ここは今日はいいかな」と弾く前から戦意喪失。

「ヴァイオリンは1日弾かなかったら3日の退歩だ」のような話はよく聞きます。え、じゃあ受験生が1年弾かなかったら3年の退歩なの? 高校1,2年の努力が水の泡になって、入試合格の時点で中学3年のレベルまで落ちるの? 「ヴァイオリンは1日弾かなかったら3日の退歩だ」を言い始めた人にそう聞いてみたいものです。でも確かに10日弾かないでいると一気にぎこちなくなってしまいました。これはまずい。元のレベルに戻るまでにどれくらいの期間がかかるのかちょっと分かりません。1週間くらいで戻ればいいのですが・・・。でもヴァイオリンを演奏するための動作がいかに微細で、練習を積み重ねないとすぐに体から抜け落ちて行ってしまうものだということはよくわかりました。自転車の運転なら1年くらいブランクがあっても全然OKです。何なら水泳は20年泳いでいなくても身体が覚えていました。

しかしヴァイオリンだけはどうやらそうはいかないようです。「なんでワイってヴァイオリン弾いてるんやろう」「誰かが求めてるわけでもないのに、なんでこんなことやってるんだろう」、さすがにそう思ってしまいました・・・。