CD。90年代にはCDを買うという行為そのものがオシャレだとみなされていました。そりゃそうですよね。黒い大きな円盤だったレコードは、再生するためにターンテーブルに載せて針を落とすというアナログなしぐさをしなければ音が出ませんでした。

それが80年代になると光を反射する透明な円盤になり、ディスクの下からレーザー光線を当ててデータを読み取るというもの。正直説明されてもよくわかりませんね。もちろん音楽を楽しむためにその原理を熟知しなければだめだ、ということはありません。飛行機がなぜ飛ぶのかを説明できるまでJALにもANAにも乗らないなんて奴いませんよね。とにかく未来を予想させるフォルムに当時の日本人は「未来ずら!」と驚いたことでしょう。




80年代にリリースされたCDのブックレットには、こんなことが書いてあります。
コンパクトディスクは、現代の最先端を行くデジタル技術やレーザー光線の応用など、全く新しいシステムから生み出されたディスクで、雑音のほとんどない、忠実度の極めて高い、鮮明な音が楽しめます。
私の大学時代のゼミの教授に言わせると、日本ほどレコードからCDへの移行が早かった国もないそう。それだけこぞって誰もが目新しいものに飛びついたんですね。

そして時は流れ。学生時代に買い込んだCDがポツポツと、劣化していることに気づきました。

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これはヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮したワーグナーの『ニーベルングの指環』より『ワルキューレ』。『ワルキューレ』だけでもCD4枚組の大作です。購入したのは20年以上昔、たしか靖国神社の近くにあるササキレコードだったような気がします。うろ覚えですが。その時点で製造から10年は経過しているはずですから、1990年代前半のものでしょう。

裏面はこんなふうになっていました。


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ところどころで塗装?のようなものが剥がれ落ち、とても音が出るとは思えません。
いや音が出て問題なく再生できたとしても「いつ止まるかわかったもんじゃない」というヒヤヒヤ感を抱えながら音楽を聴きたくないですね・・・。

この画像は4枚組のうち2枚目です。『ワルキューレ』の第二幕といえば劇場では居眠りタイムだからいいじゃないか(いや居眠りするくらいならそもそもチケットを買うなって話だが)? 一応、1枚目つまりやたらとドラマが充実している第一幕は問題なく再生できています。

他にも、アマゾンで中古CDを1円だからといって買ってみたものの、ケースを開けたとたんにディスクがこんな状態だったのを見て愕然となったこともあります(つい最近)。売る前にちゃんと検盤しろよ。

今回はたまたまカラヤンのCDが劣化していることに気づきましたが、これから年数を経るごとに私がごっそり買いためたミュンシュとかバーンスタインとかヴァントとかのCDも聴けなくなってしまうのでしょうか。しかしまさか全部をHDにコピーするわけにもいかないし・・・。

名録音・名演奏であれば、ハイレゾ音源になって配信されたり何回も再発売されたりすることが期待できます。でも「名録音・名演奏とまでは言えないが、自分は気に入っている」CDが聴けなくなっていることに気づき・・・、という日がいつかやってくるでしょう。これが年を取るってことなんですね。なんて骨体。