声優・青山なぎささんのラジオ番組「青山なぎさのまよわずなぎさ」の2023年4月23日放送回を聴いていると、彼女はワンオクのライブに一人で出かけていったと明かしています。



女性が一人でライブに行くというのはあまり聞かない話ではあるものの、声優という特殊な仕事をしていると休みの日も土日で固定というわけにもいかないでしょうから、単独行動が多めになるのでしょうか。

「ライブに一人で行くことが多くて、dosのライブも一人で行って。バンド系は一人で行きます。あまり同じ趣味の人がいなくて。一緒に行こうとなっても休みが合わないとかがあって、結局映画も一人で行ったほうが早いし楽しめるということがわかって以来、一人で行きます。友だちのライブとかも一人で行ってるかも。一緒に行ける友だちほしいな~」。

いいじゃありませんか、一人で何でも行動できるなんて。このブログは「友だちいない研究所」。友だちがいない私は、ピューロランドだろうがポムポムプリンカフェだろうがヒトラーの別荘だろうが大英博物館だろうが、とにかくどこにでも一人で出かけてしまいます。そうするうちに気づきます。結局、映画にせよライブにせよ、一人で行ったほうが本当に手っ取り早いし楽しめるのです。

旅行が特にそうですが、「どこかに出かけて何かをする」というのは限りある資源=時間をどこにどれだけ配分するかという「最適配分ゲーム」です。パリに行ったとして、絵画が好きな人はルーブル美術館になるべく長くいたいでしょうし、『ベルばら』が好きな人はヴェルサイユ宮殿の滞在時間を最大化したいと思うはず。

このほかにも朝ごはんはゆっくり食べたいとか、さっさと食事を済ませて行動したいとか・・・。こうなってくると、時間をどう配分していくかという「旅の満足度」を左右するものの主導権は、その旅に参加する人数が多くなればなるほどあなたの手からこぼれ落ちてゆくことになります。
反面、一人旅なら自分が時間をどう使おうが自分で決めたことが正義なので、明確に「パリでこれをやりたい」という目標が決まっている人にとっては一番有利なのです。もちろん、「誰かと一緒に出かけたほうが楽しい」という意見もあるはずです。しかし実は「旅先でやりたいことがない人」「とりあえず集団に所属していれば安心する人」「言われたことをやって、ただみんなと同じことをして楽しい人」なのかもしれません。それって日本人のほとんどなんですけどね。

え、ライブの感想を語り合いたい? でも感性って人それぞれですし、どうせお互いに「あの曲のギタリストがかっこよかった」くらいのことを言い合って終わりではないでしょうか。でもそれってTwitterでも良くないですか。

言うまでもないことながら、人の人生はせいぜい80年。その中でどう生きても個人の自由。人と過ごすもよし、一人で過ごすもよし。唯一絶対の正解というのはありません。しかし生きていくなかで幸福度を下げる要素があるとしたら、「コントロール権が自分の手中にないこと」だと考えて間違いないでしょう。懲役10年の刑罰なんて、10年間他人の命令に従って生きろ、行きたいところに行くな、この敷地内で暮らせということですから、まさに不幸。日本人のサラリーマンが世界の労働者のなかで際立ってエンゲージメントが低いのも、仕事を辞める・変えることへの障壁が高いからであり、つまりは自己決定できる余地がほとんどないからです。

青山なぎささん、「結局映画も一人で行ったほうが早いし楽しめる」なんて何気ない一言でもすごく鋭いことを言いましたね・・・。誰かと一緒に行くもよし、一人でサクッと楽しむもよし、どうするかはまさに個人の選択です。新進声優として様々な経験を積んでますます芸の幅を広げていただければと思います。