ヴァイオリンを演奏する人なら・・・、いや、ピアノを弾く人も、ばかりじゃなくてトランペットだろうがクラリネットだろうがそうに決まっています。楽譜を買ってこなければなりません。

ヴァイオリンを弾く私ならモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲』とか、ヘンデルの『ヴァイオリン・ソナタ』とか、いわゆる名曲が全音楽譜出版社とか音楽之友社とかベーレンライターとかヘンレとかブライトコフとかから発売されていますから、こういうものを買ってきます。

同じ曲でも出版社によってフィンガリングとかボウイングが異なっているのは、編集に携わった演奏家なり研究者なりの解釈が入っているから。たとえば欧米人の大きな手をしている人が関わっていると、手の小さなアジア人にはちょっと弾きづらいかな、という指の動きが書かれていることもあります。では日本の出版社がベストかというと、必ずしもそうではないのが厄介ですね。

ともあれレッスンとか本番のために、どこの出版社であれとにかく楽譜をゲットすることが大事。
でも何冊も楽譜を買っていると、あることに気づく日が来るはずです。

・・・楽譜の表紙って、なんでこんなにダサいんだ? 商売する気がないのか?

楽譜の表紙がダサくて力が抜ける

ダサいだけならともかく、どれも表紙が画一的で見分けづらい。いったいどうしてこんなデザインなのか・・・。







ほら、どれも同じにしか見えないでしょう? 間違えて違う曲を買ってきたらどうするんじゃ。でも楽譜はおしなべてこんな感じです。これを普通の文庫本と比べてみましょう。

なんと、集英社文庫の『伊豆の踊子』は荒木飛呂彦先生が表紙絵を描いていました(知らなかった)。
集英社だろうが新潮社だろうが講談社だろうが営利企業である以上、少しでも読者に手を取ってもらおうと工夫するのはまあ当然ですよね。
楽譜はどうなのかというと、そもそも「少しでも読者に手を取ってもらおうと工夫する」ことへのインセンティブがそもそも存在せず、「先生がベーレンライターを推薦したから」とか「ペータースとシャーマーが店に置いてあったが、シャーマーのほうが2,000円くらい安かったから」とかが理由で選ばれているというのが実情ではないでしょうか。

しかし・・・、ただ作曲者名とか曲名がデカデカと書いてあるだけの表紙とか、ただ白いだけの表紙とかを見ていると「お前は業務用商品か?」とツッコミたくなってしまいます。要するに見ていてマインドが上がらないんです・・・。

で、私が思い出すのがこれ。


なんと、乃木坂46のメンバーを表紙にしただけで売上が100倍になってしまったとかいう企画。こんなことを思いつくなんて、一体どんな名軍師なんだ!?

この結果、たとえば西野七瀬さんが表紙に起用された林真理子さん『新装版 星に願いを』は、売上が前月比で137,250%増加。13万%なんていう無茶苦茶な数字を見ることは、普通ありません。つまり乃木坂46というのはそれだけ注目されているアイドルグループであり、失礼な話ながら「内容はともかくとして表紙がGoodならそれだけでバカ売れする」という、要するに「人は見た目が9割」な話なのです。

いいじゃありませんか、じゃあ私が出版社の社長ならバッハの『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』の表紙を渡辺麻友さんにしちゃいます。ブルッフの『ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調』なら黒澤ダイヤ・・・、あっ、いっそ私が敬愛する『ラブライブ! サンシャイン!!』とコラボしてメンデルスゾーンとかシベリウスとかベートーヴェンとかの協奏曲の表紙すべてをAqoursのメンバーで固めてしまえばいいではありませんか。

こんなことを思いついた人は楽譜業界にはきっと誰一人としていないはず。楽譜とラブライブ! がコラボすればベストセラー間違いなし。このアイデア、誰か買ってくれないかな・・・。