マッチングアプリは、普段の生活では出会うことがないはずの人と出会うことができる(かもしれない)という画期的なツールといってもよいでしょう。昔はお見合い結婚が普通に行われていましたが、そういうものは昭和でほぼ絶滅しました。その後、自由恋愛が主流となり、職場での出会い、そして結婚というのもよく見られましたが、平成も後半になるとセクハラだのパワハラだのアルハラだの、「ハラスメント」の種類が激増して男性社員が女性社員に近づきにくくなり、しまいにゃサシハラが「平成、チョー最高でした」と言って横浜スタジアムでHKT48を卒業していきました(私は観客の一人としてその場にいました)。

ただマッチングアプリというのは女性は無料で利用できる反面、男性は毎月3,000円程度支払わなくてはならないという、入口の段階で「男女共同参画社会」とか「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、 信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とか、いろいろなものを否定してくる仕組みになっています。

「これでワイも色んな女子と知り合えるんやでフフ」とかいう淡い期待がまずここで萎えてしまい、その後「全然マッチングしねえ!」という苦い現実が待ち構えているのでした。

ではマッチングすれば一体どうすればいいのか?

結論から言うと、「気になる女性にはすべて"いいね"するしかない」。

本当はあまり気にならなくても、「いいね」。

タイプじゃなくても、「いいね」。

どうでもいいから、「(どうでも)いいね」。

こうやって「いいね」をばら撒くと、いつかはマッチングします。
(注:本記事は私=男の視点から書かれています。)


マッチングアプリのベスト戦略はバラマキ

なぜバラマキが有効なのか? というと、女性がもらっている「いいね」の数に注目すれば分かります。乃木坂46にいそうな女性は500とか、1000とか、中には2000とか、とんでもない数の「いいね」が付いています。もし500いいねの女性と付き合おうとすると、その中のナンバーワンにならなければいけません。甲子園優勝くらい難しいんじゃないでしょうか。

しかし女性も女性で「1日に100件も"いいね"が来て驚いた」「あまりに"いいね"が付いて、メッセージの返信はアトランダムになってしまった」ということになります。

見知らぬ人と表面的な会話を繰り返すことによる「マッチングアプリ疲れ」もあるようだ。今春、アプリで出会った男性と結婚する横浜市在住の女性(26)は、これまでに4種類のアプリを試した。気になる相手と送り合う「いいね」を1日に100件以上受け取ったことも。「その中からやりとりする人を選んで、一人一人と同じ会話を繰り返すことに疲れてしまった」。一時は婚活を中断したこともあったという。

婚活アプリを利用している関東在住の男性(28)も「面白い会話をし続けないと、会うところまでたどり着かないので気が抜けない」と話す。

(日本経済新聞2023年1月19日記事「20代、なぜ結婚相談所へ?「タイパ」や相談相手求め」より)
1日100件ももらえるのは、一部のいわゆる「人気会員」だけなのかもしれませんが、ざっとアプリの画面を眺めていると、みんな100~300くらいは「いいね」をもらっているようですね。
ちなみに男性では「いいね」が1つ付けばそれだけで全体の50%あたりにランクインできます。
これも男女の非対称性が著しいですね。

こういう環境では、自分がどんなスペックだろうが「1いいね」でしかなく、競争相手が100人いるとあなたは100分の1にすぎません。
ゆえに、ごくわずかな可能性に賭けて「いいね」をばら撒くしかないだろう・・・。私は経験的にそのことを体得しました。

面白いことに、東京都立大学教授で経営学者の高橋勅徳氏もマッチングアプリを使ってみて、研究者ならではの考察の結果、やはり「ばら撒くしかない」という結論に達したようなのです(いちいち深く考察しなくても、使ってるうちに経験的に悟ることだと思いますが)。

高橋氏は、現代ビジネスの「突然「選ぶ側」になった「恋愛弱者女性」と、選ばれるハードルが高すぎる「恋愛弱者男性」を待ち受ける「マッチングアプリの罠」」という記事においてこう語っています。

恋愛弱者男性の場合、自分のプロフィールを見てくれた女性にはすべてマッチングの申し込みをするくらい必死でアプローチしないと会ってもらえません。僕は婚活中に結婚相談所のウェブマッチングサービスを使って自分との年齢差が10歳下から5歳上くらいまでの女性に対して半年くらい同様の試みをしましたが、それでも全敗でした。マッチングすらしない。男性がいくら申し込んだところで、女性からするとそれはリストに並ぶ何人かのうちのひとりにすぎず、その中から年収や年齢、外見などを満たす人から順番に会っていくわけです。するとたとえ男性側に好みがあったとしても、選ぶ権利が実質的に存在しない。

(中略)

恋愛弱者男性が会う機会を獲得するには、少しでもこちらに関心を持ってくれた形跡のある女性、あるいはせいぜい地域や職種で絞り混んだ相手に対して片っ端から申請をしまくる――「手数を増やす」しかアプリ上で取りうる戦略的なオプションがありません。婚活関係のあらゆるカウンセラーが「結婚したいなら手数(出会い)を増やしなさい」と言うのですが、サービスの機能的な特徴を考えてもそれしか選択肢がない。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/9a4d6bd7e234e455eb3fc99b99d6c159be6a2bbf?page=2より)

なんと、高橋氏は半年でマッチングゼロだった模様。ちなみに私の場合、身長が156cmと、ここだけ見れば足切りされてもおかしくはありませんが、使い始めてから1年半で11名の女性と実際にお会いできました。単なるマッチングであればその7倍(体感値)は成立しています。ただメッセージのやりとりが一方的に断ち切られてしまったりすることが非常に多いので、上記日経新聞記事のごとく「面白い会話をし続けないと、会うところまでたどり着かないので気が抜けない」のです。

というわけで、大学教授の考察でもやはり「結婚したいなら手数(出会い)を増やしなさい」つまりいいねをばら撒くしかなく、マッチングアプリというソフトの機能でもそれくらいしか男性ユーザーにできることはないのです。

ちなみに経済評論家の勝間和代氏は婚活のことを「じゃんけん、じゃんけん、またじゃんけん」と評したことがありました。要するに負けても死ぬわけじゃないので、じゃんけんを続けていればいつか勝ちます、ということだそうです。つまり女性に無視されてもブロックされても、「いいね」を惰性で(?)続けていればいつかはいい出会いが待っている(かもしれない)というわけです。

なんだか身も蓋もない話ですが、これが現実のようです。



追記:世の中には「恋愛における自分の行動の癖や考え方の癖を分析・理解することのできる無料テスト」とかいうものもありました。敵を知り己を知れば百戦殆うからず(戦争か)。自分の傾向と対策をしっかりと把握してから人と会うというのも一つの手でしょう。