右と左。どっちがどっちなのかという問題はけっこう付きまとうもの。ひな祭りの右大臣左大臣はどっちが偉いのか、どっちをどっちに置いたらいいのかというのは迷いますね。

そもそも自分から見て右というのは、相手から見て左。これもわけのわからなさに拍車をかけます。

結論から言うと、ひな人形をセッティングするときに右側に左大臣を置きます。左大臣のほうが偉いです。左側に右大臣。朝廷では「左」のほうが偉いとされています。

なぜ左なのか。これは古代中国の考え方に影響を受けているとか。
古代中国では、皇帝は宮殿の北側に、南を向いて着席します。そうすると皇帝から見て左側が東になります。東というのは太陽が昇ってくる方向ですね。だから左のほうが偉くて、太陽が沈む方角である右のほうが下位になります。

同様の考え方で、ご飯と味噌汁を並べるとしたら普通の人は無意識にご飯を左、味噌汁を右に置いているはずです。これも「左側が偉いんだ」という考え方がベースにあります。
こういうことを知っているからといって、松屋で牛めしを頼んだときに味噌汁が左、牛めしが右で提供されると「君は何もわかっとらん!」などとプンプン怒り出してはいけません。ただのうるさい輩です。

え、ではなんで失敗した部長が地方の支店に「左遷」されるのか、ですって? 降格処分なら「右遷」だろう? いえいえ、これは文章を縦書で書いていくとわかります。紙の右上から書き始めて、左下で終わりますよね。つまり名簿なら右側に偉い人の名前が来て、左に行くにつれて下っ端という順番で並びます。だから降格が左遷なんですよ・・・。


欧米と右左が逆で分かりにくい話

欧米では右と左の位置づけが逆なので混乱します。つまり欧米では右側に来るのが偉い人。
あなたがG7サミットの議長国だとすると、写真撮影の場ではあなたが真中に立ちます。
2番めに偉い人(在職年数やその人の年齢が考慮されます)はあなたの右側に来ます。3番目に偉い人はあなたの左側です。

こういうのはプロトコールと呼ばれており、文化や宗教の違いでトラブルにならないように、国際会議や祝宴の場では暗黙の約束ごととして常に尊重されているものです。(この他にも国際会議の場でデスク上にミニサイズの国旗を置くときはどうしたら良いかなど、細かな取り決めがあります)

しかも輪をかけて混乱してしまうのが、日本の皇室は欧米の考え方を取り入れているので、公式行事の場では天皇陛下が右側、皇后陛下が左側に立つということです。

ますます混乱するようですが、劇場ではお客さんから見て右側をStage Left、左側をStage Rightと読んでいます。これは演者の視点から作られた言葉であることがうかがわれますね。

ちなみに、上手下手の覚え方で有名なのが、音楽用語「ピアニッシモ」にこじつけるというもの。
体育館などでピアノは生徒からみて左側にありますよね。つまりピアノがある左側が下(シモ)手だというもの。私はこの覚え方を知ったときにあまりに無理がありすぎて脱力しました。まあ覚えられるというのなら、それはそれでいいでしょう。