首相や大統領を経験した人が、その任を離れたあとに回顧録を出版することはよくあります。
私の本棚にはマーガレット・サッチャー、トニー・ブレア、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュの回顧録があります。
サッチャーの回顧録ではフォークランド紛争の話が、ブレアとブッシュの回顧録ではテロとの戦い、そしてイラク戦争へ突入していく様子が、クリントンの回顧録では景気回復に向けて取り組む様子やスキャンダルによる激しい非難が印象的です。
しかし・・・、こういう本は離任直後に出版されると「そうだったのか」と記憶が新しいうちにその時の裏事情などを知ることができて新鮮味がある一方、年数が経過すると「?」となってしまうという弱点があります。
比較的新しいイラク戦争でも、はっきりと当時の状況を思い出せる人は30~40代になっています。
フォークランド紛争なんてリアルタイムで見ていた人はもう50代~60代に差し掛かっているはず。
10年も20年も昔の出来事をいろいろ語られても、「そんなこともあったかなあ」としか思えなくなってくるのです。首相とか大統領経験者の話を聞けるなんてとても価値があることなのに、なんて勿体ない・・・。
やはり回顧録はすぐに買って読むべきなのでしょう。
中曽根康弘の『日本人に言っておきたいこと 21世紀を生きる君たちへ』
80年代に首相となった中曽根康弘の『日本人に言っておきたいこと 21世紀を生きる君たちへ』をKindle Unlimitedで読んでみたものの、やはりネタが古くて「うろ覚えだけどこういうことも・・・あった・・・、けど言われてみて20年ぶりに思い出した」ような話が連続して自分が年をとったことをいやでも自覚させられます。
第二次橋本組閣における佐藤孝行氏の問題にしても、いくつかの点から私は彼を推薦した。採る採らないは総理大臣の自由であるが、ともかく推薦したことは事実である。佐藤氏は、党の行政改革推進本部長になってから百何十回と、毎朝八時には会議に出席し、一日も休まずに主催した。反対も相当あったが、雇用促進事業団やその他の公社公団の廃止などを断固として実現した。あれだけの実績を上げられる人間は、党内には他にはいないだろう。
これは1997年に発足した第二次橋本内閣で、ロッキード事件に関連して逮捕歴(ただし執行猶予)のある佐藤孝行氏を中央省庁再編を担当する大臣として入閣させたところ、世論の激しい反発を招いて内閣支持率が急落した、という事件を述べたものです。これがきっかけとなって橋本内閣は求心力を失い、翌年の参院選で惨敗。橋本首相は退陣することになったのでした。
・・・なんてこと、ウィキペディアを調べながら文章を書いて「ああたしかにそんなことを新聞で読んだな」といった程度のぼんやりとした記憶しか蘇ってきません。
当然ながら『日本人に言っておきたいこと 21世紀を生きる君たちへ』を読み進めても「エリツィンが」「START IIが」のようなことが連続し、話が古すぎてリアリティを感じることが難しく、右から左へ読み流す始末・・・。
やっぱり回顧録は出版されたらすぐに読まないといけませんね。夏目漱石とか太宰治と比べると圧倒的に賞味期限が短い・・・。
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