マイクで録音した自分の声が気持ち悪くて嫌だというのは「あるある」です。
自分でわかっているつもりの自分の声は骨伝導を含む音ですが、第三者にはそういう音の伝わり方をしておらず、そのギャップが「気持ち悪い」という感覚につながっていくのでしょう。
ヴァイオリンを練習する上でも自分の演奏を録音して客観的に把握するのはとても大事なことです。
なにしろこの楽器も自分の耳元で音が鳴っているわけですから、自分が聞こえている音と客席に伝わっている音に違いがあるのは当然のこと。
それゆえにスマホとかICレコーダーで録音してみるわけですが、自分がいかに下手くそかというのをこれでもかと思い知らされ、二度と聴きたくなくなるというのも事実です。
そもそも未確認情報ながらヴァイオリンの音というのは録音に適さないらしく、Yahoo知恵袋によると
iPhoneのせいではないです。
ヴァイオリンは、最もオーディオ録音に適していない楽器のひとつですね。
生演奏を聴いたことがない人には、分からないんですけど。
音域が広いし、ひとつの音にしても音程に関係なくいろんな音域の音が混合していますので。
という回答も見つけてしまいました。たしかにヴァイオリン(というか、弦楽器)を録音しようとすると倍音成分をどれだけマイクがキャッチできるかというのがポイントになってきます。でもスマホやICレコーダーがそこまでヴァイオリンのことを意識しているとはとても思えません。結果、「これって本当にヴァイオリンの音なのか?」と疑ってしまうようなキンキンした音色が聞こえてきます。
一度は聴くべき、しかし二度と聴きたくない・・・、というのは「一度は見るべき、しかし二度と見たくない映画」である『シンドラーのリスト』みたいです。ワイのヴァイオリンってアウシュヴィッツなんや・・・。
とはいえ、特定の箇所にさしかかると必ずテンポがおかしくなるとか、重音が鳴っていないとか、音の響きとは無関係に「そもそも楽譜と違うよね」という箇所は把握できるはず。こういうのを一つ一つ確実に潰していけば少しはマシでしょう。
ただ・・・。そこまでやってもヴァイオリンというのはうまくならない楽器です。
自分が過去に書いた記事を読み返していると、「あなたがこの技術を身につけるのに10年はかかります」とヴァイオリンの先生に言われていたようです(すっかり忘れていた)。
しかし1つの技術を身につけるのに10年かかるのであれば、2つか3つマスターしたらそれで自分の人生は終わってしまいます。ヴァイオリンのために貴重な若い時間をドブに捨てたともいえます。悲しいかな、Too big too fail(大きすぎて潰せない)な銀行と同じく、これまで投入したコストを考えるともはや退くことができないところまで来ているのも事実。こうやって終わりの見えない練習を繰り返すことになるのでした。
またあるときは「こんな調子だとソナタと協奏曲を1,2曲完成させたら人生終わりますね」とボソッとつぶやくと、先生からは「そうです。それくらい時間がかかります。ヴァイオリンはそういうものなんです」(真顔)とリアクションが返ってきたことも。
自分の録音を聞くにつけ、ヴァイオリンの練習とは日中戦争のごとき泥沼の連続であることを思い知るのでした。
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