NHKの番組『映像の世紀バタフライエフェクト 「戦場の女たち」』で紹介されていた、ソ連軍やドイツ軍で活躍した女性兵士たち。
世界の軍隊で増え続ける女性兵士たち。そのきっかけは第二次世界大戦だった。309人をしとめ、死のエンジェルと呼ばれたソ連の女性狙撃兵リュドミラ・パブリチェンコ。ナチスの急降下爆撃を生み出した天才飛行士ハンナ・ライチュ。ノルマンディー上陸作戦を成功させるため、危険な潜入工作に挑んだスパイたち。彼女たちの命懸けの活躍、そして兵器の進化が、その後の女性兵士を生んでいく。戦場の女性たちの勇気と悲しみの物語。
このハンナ・ライチュはV1ロケットの命中精度を高めるために「人間がロケットに乗り込んで操縦すればよい」という意見具申を行います。しかしこれは時速600kmの飛行物体から衝突直前に脱出するという想定であり、そんなことは不可能です。提案を聞いたヒトラーは「兵士に生き残る可能性は残すべきではないか」と躊躇しました。おっとヒトラー、意外とまともなことを言います。
そこで側近のヒムラーは「兵士ではなく病人や犯罪者を乗せればいい」。これはヒトラーよりひどい。ようするにどうせ死んでしまうのなら、どうでもいい奴が犠牲になればいいという発想ですね。
ちなみに私はマッチングアプリで知り合った女性とお茶をしていると「献血が足りないなら、刑務所にいる犯罪者たちから血液を集めればよい」とかいう発言を聞いたことがあります。たしかこの人は感染症か何かの研究所で働いていたはずですが、なんだか選民意識を感じたのと、そもそも人権とは何かということに対する理解が乏しそうだったので二度と会うことはありませんでした。
結局ライチュは自分が今で言う弾道ミサイルのハシリであるV1ロケットのテストパイロットとして志願しますが、そもそも爆弾など操縦できないということが分かり、実戦に投入されることなく開発計画は中止されました。ドイツ軍、わりとまともです。世の中にはもっとひどい軍隊もあります。
本当に実戦に投入された桜花
太平洋戦争末期、戦局が厳しくなるとこれを打開しようとして陸海軍ともに特攻隊を繰り出すようになります。零戦や隼といった戦闘機のほか、爆撃機や練習機までが爆弾を抱えて敵艦に衝突するという、生存不可能な作戦でした。
特攻専用機として開発されたのが桜花でした。実物は靖国神社の遊就館でご覧いただけます。
ウィキペディアによると、
「桜花」は機首部に大型の徹甲爆弾を搭載した小型の航空特攻兵器で、母機に吊るされて目標付近で分離し発射される。その後は搭乗員が誘導して目標に体当たりさせる。一一型では母機からの切り離し後に固体燃料ロケットを作動させて加速、ロケットの停止後は加速の勢いで滑空して敵の防空網を突破、敵艦に体当たりを行うよう設計されていたが、航続距離が短く母機を目標に接近させなくてはならないため犠牲が大きく、二二型以降ではモータージェットでの巡航に設計が変更されている。
一式陸攻(という海軍の攻撃機)が爆弾の代わりにこれを搭載し、敵艦隊の近くでこれを切り離すと桜花を操縦員が操作して目標に激突させるという算段でした。
しかし実際には、一式陸攻が桜花を搭載して飛行すると、一気に速度が低下して戦闘機の餌食になってしまい、防弾への備えがもともと不十分だったためにそもそも桜花ごと撃墜されてしまうという事例が多発しました。
絶対に帰還することができない兵器を実戦投入するなど欧米の常識ではありえないことで(ん、ヒトラーには常識があった?)、連合軍は桜花に対してBakaというコードネームを与えました。
結局、桜花は海軍が期待したほどの戦果を挙げることなく終戦の日を迎えます。特攻を志願した若者たちは、おそらく当時の日本できわめて優秀な人材だったはず。このような無謀な作戦で尊い命が失われたことが残念でなりません。
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