ラブライバーの土辺さん(仮名)はやたらと興奮気味でした。理由は分かりきっていて2022年11月30日(水)は『ラブライブ! スーパースター!!』のライバルキャラとして登場するウィーン・マルガレーテのCD「Butterfly Wing / エーデルシュタイン」の発売日だからです。

土辺さん(仮名)はさっそく発売日前に当然のごとくゲット。そのときの感想をクドクドと私に語ってくれました。一応彼の話を記事化しておきましょう。


ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)の「Butterfly Wing / エーデルシュタイン」を聴いてみた感想

土辺さん(仮名)は熱く語ります。今か今かと首を長くして待っていたのですからそりゃ興奮しますよね。

「いや驚きましたね、TV放送のときに曲が半分くらい流れていたので大体の雰囲気は察していました。でも全貌が明らかになって、すべてを聴いてみた今、『彼女らしいな』『音にはパーソナリティが現れるんだな』っていう思いを新たにしました。

そもそも『ラブライブ!』ってスクールアイドルが歌ったり踊ったりして誰かに元気を与えるお話なんですよね。だからウィーン・マルガレーテと1位を競い合ったLiella! の作品と比べると音の雰囲気からしてまるで違います。「START!! True dreams」は明るいし未来志向のポジティブな歌詞で、この曲が原宿ゲーマーズで流れていたら買い物がやたらと進みそうになります。
「Starlight Prologue」もやはりLiella! らしいというか、スクールアイドルらしく「人との結びつき」を大切にし、「絆を実感しつつ、前に進んでいこう」っていう世界観です。

これと比べると「Butterfly Wing」の「選ばれるのは強く願う者だけ」とか「エーデルシュタイン」の「沈んでいくの 水の底へ なおも光を捨てないなら 本物の宝石にきっとなれる」なんて、最初から他者との結びつきなんて眼中にないですよね。世の中にはゴマンと「言葉」があるのに、わざわざこういう言葉を選び抜いて、こんな並べ方をするなんて、だからグループアイドルじゃなくて一人で舞台に立ってるんですよ。

べつに一人が悪いって訳ではないです。いつかNHKの番組で、歴史家の磯田道史さんが新選組を評して「みんなで同じ隊服を着て一体感を高めようなんて、(ビジュアル的には侍に見えても)農民の発想ですよこれは。本当の旗本だったら『なんで俺がお前と同じ服を着なきゃいけないんだ』ってまずそこからケンカになっちゃいますよ」ってコメントしてました。この文脈から考えると、ウィーン・マルガレーテの人となりは明らかに旗本ですよね。

冷たくて鋭角的なサウンドも彼女の世界観を強調します。「エーデルシュタイン」の突き刺すような音から始まって、気迫で周囲を圧倒するような力に満ちあふれた音の広がり方は明らかに「自分の力を思い知らせてやろう」という意志が感じられます。ラスサビの「気高く 熱く 強く 激しく」なんてティンパニの音が入ってますね。ベートーヴェンの交響曲か! こういう盛り上がり方をした後、曲は弦楽器群の冷たく神秘的な音で結ばれます。そう・・・、「エーデルシュタイン」は言うなれば彼女の情熱を冷たい氷づけにして結晶化したものです。こういう固い意志を歌に乗せ、彼女はこれを「エーデルシュタイン」=宝石と名付けました。素晴らしい曲だ!

『ラブライブ! スーパースター!!』は第3期の放送が決定しました。もしかしてウィーン・マルガレーテもLiella! のメンバーになるんじゃないかっていう観測もあるみたいですね。人との結びつきや交流を通じて成長していく姿を見るのも楽しみですが、「Butterfly Wing」や「エーデルシュタイン」に見るアーティスト性が引き換えになるのかもしれません。それはちょっと寂しいですね」


・・・、土辺さん、今日も熱く語ってくれました。それにしてもティンパニ云々のくだりって『レコード芸術』とか『音楽の友』とかに出てきそうなボキャブラリーですね・・・。