マッチングアプリは、一昔前は「どうせ出会い系でしょ」「サクラとか美人局がいるんでしょ」といったイメージがつきまとっていましたが最近ではずいぶん普及しました。

明治安田生命保険が11月22日の「いい夫婦の日」にちなみ17日までに実施した調査によると、今年結婚した夫婦の出会いのきっかけは、学校や職場を抜いて「マッチングアプリ」が首位となった。22・6%と、およそ5人に1人の割合となった。

マッチングアプリは、プロフィルなどを登録し、それを閲覧してメッセージを送り合うことで出会いにつなげる。調査によると、2012、15、16年に結婚した夫婦で、マッチングアプリがきっかけだったとの回答は0%だった。19年には12・2%、21年は16・9%に増加した。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/bce0f6926bafbd6bae8be307e3ea6a20c1147001より)

コロナも影響しているのでしょうけれども、それ以外に学校や職場で下手に人を好きになろうものなら「ハラスメントだ!」などと言われてしまうリスクが伴います。そういう危険を避けようとすると、赤の他人と知り合うしかありません。となるとやはりアプリを通じての出会いとなるでしょう。

しかし「まったくマッチングしない」「リアルで会えたことがない」という人もやはり世の中にはいます。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成資料「マッチングアプリの動向整理」という資料が公開されており、これは誰でも無料で読むことができます(ググってください)。
これによると、

UFJ
年代にもよりますがおよそ20~30%の人は「アプリを使ってみたけど、誰ともデートできなかった」という結果です。

独身研究家・荒川和久氏は、
言葉を選ばずに言えば、「今まであまり恋愛経験のない、結婚相手を探す婚活女性たち」という獲物を求めて、肉食の恋愛強者男性(既婚の不倫目的も含む)が自由に行動できる刈り取り場となっている可能性があるということである。

(https://news.yahoo.co.jp/byline/arakawakazuhisa/20220822-00311367より)

と指摘しています。

要するに「モテる奴はマッチングアプリを使っていろんな女性と付き合えるようになった。そうじゃないフツーの人、フツー未満の人はアプリ利用前と変化なし」というのが実態に近いようです。
それでもフツーの人は「これを使っていればいつか出会えるんじゃないか」と薄い可能性に希望を託してスマホの画面をポチポチしているというわけです。

なんだかあの物語に似ている・・・。


バスチアンが「元帝王たちの都」で目撃した遊び

ミヒャエル・エンデの代表作『はてしない物語』では、物語の呼びかけに応えたバスチアンが女王幼ごころの君に新しく名前を与え、ファンタージエンの国を再生させます。
この国に王子として現れ(バスチアンは現実世界ではいわゆるチー牛なのだが)、「物語を作り出せる」(言ったことが現実になる)という特殊能力を活かしながら旅を続けます。が、これには代償を伴い、物語を一つ作るたびに現実世界の記憶を一つ失うのでした。

やがてバスチアンは自分がファンタージエンの帝王になればよいという野望を抱き、これに失敗すると半ば廃人となって「元帝王たちの都」にたどり着きます。

この都にはバスチアンの同類である「元帝王たち」が大勢いました。人間の世界の記憶をすべて失った彼らはなにやらサイコロを振って遊んでいます(ボケ老人みたいですね)。このサイコロの面にはアルファベットの文字が一つずつ記されているのでした。この都に住み着いた猿のアーガックスはバスチアンにサイコロ遊びのルールを説明します。

世界中の物語は、とどのつまり、アルファベット二十六文字からできている。一字一字は同じで、組みあわせだけが変わるんだ。文字がいくつか合わさって単語になるだろ。いくつかの単語から文ができる。文を集めりゃ章になり、章がいくつかで物語になるってわけさ。ほら、そこを見てごらん。どうなってる?

バスチアンがサイコロを見ると、

HGIKLOPFMWEYVXQ
YXCVBNMASDFGHJKLOA
QWERTZUIOPU

こういうことをやっていると、ある時偶然、言葉が形成されることがあります。大した意味はなくても、とにかく言葉は言葉です。DAIKONMAHIとか、HAMIGAKINIKUなどのように言葉として成り立っているものが現れるので、これを百年、千年と続けていけば偶然に詩ができあがるという可能性もあります。したがって、永久に続ければなにかしらの物語も形成されるかもしれないのです。

アーガックスの説明を聞いたバスチアンは「途方もない話だ」と呆れかえり、まだわずかに残っている現実世界の記憶を守りながらなんとかしてファンタージエンからの帰り道を見つけようとするのでした・・・。

マッチングアプリで「出会えない、出会えない、でもこの人ならマッチングするかも、会えるかも」と思いながら毎日ポチポチする姿は、元帝王たちのサイコロ遊びと五十歩百歩な気がします。そうしてアプリの開発元に毎月課金するなんて・・・。でもこのビジネスモデルを考えた人、もしかしてすごく頭が良いんじゃ・・・。



追記:どうしても会えないという場合、いわゆる「自分にとってふさわしくない相手」をポチポチしている可能性が考えられます。このパートナーエージェントのサイトでは自分の価値観を無料で診断できるらしく、課金されない範囲内で一応自分の行動パターンを把握しておくのも一つの手でしょう。