ゲーテの代表作『ファウスト』の第二部では、ファウストとメフィストフェレスは一応神聖ローマ帝国の皇帝に仕える者として大胆すぎる経済政策を打ち出します!

なにしろファウストは稀代の碩学として知られています。哲学、法学、医学、神学・・・。ありとあらゆる学問を修め、それでも「まだまだ自分は知らないことばかりだ」とさらに知のフロンティアを開拓しようとしています。そんな真面目な奴、メフィストフェレスじゃなくても「ちょっとこいつをからかってやろうぜw」な気分になりますね。

第一部ではメフィストフェレスにつけこまれて悪魔の契約を交わしてしまうファウストがグレートヒェンを失ってしまうところで終わります。

第二部は場面がいきなり変わってなぜか神聖ローマ帝国の家臣に。大出世ですね。
ところがこの神聖ローマ帝国は財政破綻の危機に瀕していました。なにしろ歳入を担保に前借りをするため、ユダヤ人が容赦なく歳入を容赦なく持っていってしまうのだとか。ベッドの布団さえ抵当に入り、毎日のパンの代金すら未払いだとか。こりゃ相当ですね・・・。

ここにやって来たのがファウストとメフィストフェレスでした。2人はたちまちのうちに財政再建を成し遂げてしまいます。いったいどうやって・・・。


ファウストさん、もう無茶苦茶・・・。

2人の財政再建策はすぐに結果がでました。
宮内卿によると、「支払という支払がことごとく済み、高利貸も引っ込み、天国といえどもこれほど愉快ではないでしょう」。

兵部卿は「前金払で給与の片がつき、軍隊全体が契約を更新した。兵士は上機嫌で、酒屋の主も飯盛女も景気は上々」。

なんだか借金のどん底から石油王になったみたいな話ですね。

彼らの財政再建策は、
節約嫌いの皇帝が借金の返済に苦しんでいると、悪魔メフィストフェレスが現れて知恵を出す。お札をたくさん刷ればいいんですよ――。やってみると、人々が浮かれ、モノが飛ぶように売れる。あっという間に帝国は好景気に沸き、皇帝は大喜び。すると悪魔がささやく。「魔法の紙幣で酒と女に浮かれたいだけ浮かれられる。便利です」

(日経新聞2014年12月14日記事「ゲーテの警告忘れぬ独」より)
あれ、でもちょっと変ですよね。紙幣って、単独では価値を持ちえず、その紙幣を発行する国家の富が裏付けとなって初めて1万円札に1万円の価値が伴うはずですから。あなたが「オレ共和国の銀行券1万オレ」なんて言う紙幣をプリントアウトしても、1万オレ札を福沢諭吉1枚と交換しようとする人はだれもいないのはつまりそういうことです。

しかしファウストとメフィストフェレスの財政再建策は大成功しました。
彼らが富の裏付けの根拠としたものは、帝国領内の地中に埋められた無数の金銀財宝でした。この無尽蔵の宝はすぐに発掘され、兌換すべき対応策はすでに講じられたということに一応はなっています。

つまり彼らの経済政策を日本政府も採用すれば、財政再建も不景気も1日で解決します!
10万円紙幣とか100万円紙幣をじゃんじゃん刷って国民に配ればみんな大喜びでタワマンもレクサスもローレックスもゴルフ場会員権も飛ぶように売れて日本のGDPは中国を一気に追い抜くこと間違いなし! 富の裏付け? メタンハイドレートとかでいいんじゃないでしょうか。

・・・なんて言う戯言を妄想してしまいました。
ファウストとメフィストフェレスの政策は一時的に景気を上向かせることができましたが、『ファウスト』の終わりの方でこの国家は結局財政破綻に向かって無政府状態になったことが明かされています。
要するに紙幣の価値の裏付の根拠が結局はまやかしだったことが露呈してしまったわけですね。
















でもこの流れ、なんだか某国政府の金融緩和みたいだ・・・。