鐘嵐珠。ラブライブ! シリーズの一つ『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の第二期から登場します。
ニコニコ大百科(仮)によると、

虹ヶ咲学園に所属する高校2年生。香港からスクールアイドルをするために虹ヶ咲学園に留学してきたお嬢様。中国人と日本人のハーフ。好きな食べ物は肉。口癖は「無問題(モーマンタイ)ラ」。
栞子に次ぐ新たな追加キャラとしてミア・テイラーと同時に発表された。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS(以下スクスタ)』のメインストーリー19章で初登場し、29章で同好会に入部。2021年8月31日にミアと共に正式加入が発表された。

口癖が「無問題(モーマンタイ)ラ」。私は昔浜松に住んでいたことがあり、この地方の方言で語尾にやはり「ラ」をつけることがよくありました。

たとえば「今日は雨だラ」と言えば、今日は雨だなあぐらいのニュアンス。
「いいラ!?」と言えば、どうだいいだろう!? といった感じになります。

そうやって語尾のラを日常的に聞いていると鐘嵐珠の「ラ」もああそうかなとなんとなく聞き流してしまっていました。
でも調べてみるとこの「ラ」たった一文字があるから彼女の個性が際立っているというなかなか奥深いものでした。


鐘嵐珠「無問題ラ!」の「ラ」

日本語は語尾に何かを付け加えることで「絶対~だ」「~だよね」「きっと~だろう」といった意味に変えることができます。英語でもisn't it?という付加疑問文にすると「~じゃない?」となります。

中国語でもやはりそういう表現ができます。

鐘嵐珠が語尾につけている「ラ」は中国語で「啦(ラ)」でした。この助詞を語尾につけると「だ!」という断定表現になります。

つまり「無問題啦!」で「絶対に問題ない!」となるわけです。

どうでしょう。何しろEutopiaなんていう曲を生み出してしまう鐘嵐珠の個性を考えたとき、ただ「無問題」と言うのと、「無問題啦!」と言い切ってしまうのと、どっちが彼女らしいでしょうか。考えるまでもないですよね。

何しろラブライブ! シリーズは登場人物が多いです。μ'sやAqoursは9人、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は12人。Liella! も最初は5人で第二期に9人、さらに第三期はもうちょっと増えそうです。しかしアニメの放送時間は1エピソードが正味20分と限られており、そのなかでキャラクターの個性を描き分けていかなければなりません。あくまでも単純計算ですが、20分÷9=2分ちょっと。これがキャラクター1名に割り当て可能な時間です(実際にはそれぞれのキャラクターが際立つエピソードが用意されていますが)。

こういう難しい問題をどうやってクリアするかと考えたときに、語尾を工夫することで個性を付け加えるというのは素晴らしい手法です。だって、たったの1秒でキャラクターらしさがパッと伝わるわけですから。

鐘嵐珠だけではなく、例えば黒澤ダイヤの「ブッブーですわ!」の「ですわ」も一言でお嬢様なんだということが伝わりますし、絢瀬絵里の「ハラショー」というロシア語を差し挟むことで繰り返し彼女のルーツを強調できます。

このように考えると、「ラブライブ!」シリーズは限られた時間のなかでキャラクターの個性をうまく表現していく見本市のような事例がたくさん見つかるかもしれません。