2022年10月5日から25日まで大丸東京店で開催中のイベントである「AKB48秋祭り」。これは、大丸公式サイトによると
アイドルグループAKB48が10月19日(水)にリリースする、60thシングル「久しぶりのリップグロス」の発売を記念し、コラボイベントを開催!大丸東京店の"誕生祭"をAKB48が盛り上げます。
AKB48メンバーの魅力や新たな一面を知ることができる3週間。お見逃しなく。(https://www.daimaru.co.jp/tokyo/akb48/より)
と紹介されています。百貨店といえば、いわゆる「いいもの」を「相応の価格」で売るお店であり、量販店とかショッピングモールとは性格を異にしています。いわば小売の王様とでも呼びましょうか。
とすれば秋葉原のドン・キホーテから出発し、かつては「パンツ見せ集団」と揶揄されていたAKB48もここまで広く受け入れられるようになったかと、北へわずか2駅しか離れていない街を歩く人と、ここ大丸東京店を訪れている客層の違いに深い感慨を覚えました。
エスカレーターを登り登って、目指すは12階。そこに私が求めているものはありました。フロアが近づくにつれ私の胸は高鳴ります。・・・と、これだけはなんだかドン・キホーテの8階を目指すときと何も変わりません。
渡辺麻友さんの精緻な衣装に涙
12階には、ファンからの投票で決まったAKB48歴代衣装が展示されています。
オサレカンパニーが今まで制作した衣装を一部展示。
■12階 レストランフロア JR側エレベーター前 特設会場
ファンの皆様のアンケートにより決定します。
くわしくは、AKB48公式Twitterアカウント「@AKB48_staff」をご確認ください。
どんな衣装が展示されるでしょうか?!ご期待ください。(上記URLより)
オサレカンパニー@osarecompany
🍁#AKB48秋祭り のお知らせ🍁
2022/10/04 18:00:16
大丸東京店12Fで展示する衣装アンケートの結果発表です🎊
なんと!驚きの1位同率😳
これら12着の衣装展示が10/5(水)からスタートいたします👗💞
ぜひお楽しみに✨ https://t.co/JYkTsV0Anr
「11月のアンクレット」。私がこのブログで何度も繰り返し触れてきた渡辺麻友さんのAKBメンバーとしてのラストシングル。この衣装を一目見なければと思い、この場に足を運んだのでした。
果たせるかな、その衣装の精緻なこと!
この丁寧なゴブラン織の見事さはどうでしょう。ゴブラン織とは、ヨーロッパとくにフランスやベルギーを訪れると美術館や宮殿で見かける、起源を15世紀まで遡るという分厚いタペストリーの製造法でもあります。あの織り方を渡辺麻友さんの衣装にも用いたようです。
わずか数度しか使用されないことはわかりきっているのに、ここまで丁寧に作り込んであるとは・・・。TV画面を通してでは絶対にわかるはずもない細やかなな仕事に私はため息をつくばかりでした。こういうのはやはり実際に現物を見なければ気づくはずもなかったでしょう。「11月のアンクレット」の衣装はそれほどまでに他の衣装の出来栄えを凌ぐものです。
と同時に、この衣装はやはり渡辺麻友さんのみを念頭に作成された、ただ1着しか存在しないものであることを実感し、眺めているとAKB時代の彼女のシルエットが脳裏に浮かびます。指原莉乃さんは「こんな小さな体でグループを支えてくれて」と涙ながらに卒業コンサートで語っていました。
まさにその小さな身体を包んでいたのが、この衣装でした。たとえこの先もう使われないと知っていても、なおオサレカンパニーの皆さんは渡辺麻友さんの最後の花道を飾ろうと最大限の工夫をこらしたことがひしひしと伝わります。
そしてこの衣装は本当に衣装としての本来の役割を終え、再び袖に腕を通す持ち主はもう戻ってくることはなく、ただ展示品としてのみ用いられ、私達にかつて「アイドル」、掛け値なしのアイドルがいたことを無言のうちに指し示すのみとなったことに儚さを覚えるのでした。
「言い訳Maybe」、「ヘビーローテション」、「ポニーテールとシュシュ」、「フライングゲット」、そして「11月のアンクレット」。AKB48が、そしてこうした曲がなければ・・・、渡辺麻友さんがいなければ、現在の日本のポップカルチャーもまた違ったものになっていたはずです。
衣装の展示を見たのはほんのわずかな時間ですが、私は多くのものを手渡されたような思いにとらわれ、深い感動とともに会場を後にしました。
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