世の中には山のように喫茶店があります。
ドトール、エクセルシオールカフェ、スターバックス、コメダ珈琲、星乃珈琲店、カフェモロゾフ・・・。

で、いろんな喫茶店を訪問しているとあるときあなたは気づくでしょう。


「・・・ってか、コーヒーの味ってどこも大差なくね?」


上に挙げたチェーン店のなかで最も安いのはドトール。ここのブレンドコーヒーSサイズは224円です。
缶コーヒーが130円ですから、これに94円をプラスするだけで人間がコーヒーを提供してくれて、なおかつ椅子とテーブルを使用する権利を確保することができます。ついでにWi-Fiもトイレも無料。

こう考えると、ドトールのコーヒー価格というのがものすごい企業努力のうえに成り立っているということがよくわかりますね。

さて私が今日利用したのがカフェモロゾフでした。ここはコーヒーが550円。ワッフルとのセットが1,100円です。
ではここのコーヒーがドトールの2倍の美味しさ(そもそも美味しさを数字で表現するのは無理がありますね)かというと、そうでもない。むろんドトールのコーヒー2杯分の満足度かというと、これも違う。

ではどうしてコーヒーが224円だったり550円だったりするのか? と考えたとき、当然のことながらやはり場所代込みでこういう価格設定になっているのだと思わざるを得ません。

コーヒーの価格とは、場所代でもある

お店の内装や雰囲気、席と席の間隔といった様子を具体的に思い出していただきたいのですが、ドトールの場合はどうしても座席の間隔が狭かったり、テーブルも丸くてノートや書籍を広げづらかったり、最悪の場合椅子がガタガタすることも・・・。でも文句は言いますまい。224円でコーヒーがいただけるのですから。

もうワンランクアップしてスタバはどうでしょうか。
たしかにもともとヨーロッパのカフェを研究して作ったといわれるだけに、悪くはありません。
椅子がガタガタする問題は・・・、たまにスタバでもそういうのに当たってしまうときもあります。それでも座席やテーブルはドトールよりしっかりした作り。ソファ席はゆったりとしていてくつろげますね。

でもスタバはどちらかというと若い人が多いですね。ある程度年を重ねてくると、そういう雰囲気にだんだんと嫌気がさしてくるようになるのです。べつに耳をそばだてるわけではないものの、耳に飛び込んでくる話題が学校の話だったりとか。お客さんの一つ一つの仕草もずいぶん若いですね。でも大学を卒業して何年も経過すると、「そういう空気はもういいかな」という感情を抱くようになるはずです(私はそうでした)。

で、「せっかく外出先でコーヒーを飲むなら(とくに同伴者がいるなら)、自分の半径1メートルにはできれば誰もいないほうがいいな」「静かなところがいいな」と思うようになり、結果的にデパートのなかに出店しているカフェモロゾフのようなところを選ぶことになるのです。

カフェモロゾフというのはあくまでも一例にすぎませんが、こういうところならさすがに椅子、テーブルをはじめとする家具調度類もしっかりとしたものです。テーブル同士の感覚もある程度確保されていますし、単価が高いので結果的にお金を持っている人しかいません。

で、お金を持っている人というのはえてして品が良いのでこういう場所では当然のごとく仕草もお上品。こういうところに身を置くというのは、とくに喧騒が嫌いな私のような人にとっては気持ちのいいものです。

こうやっていろんな喫茶店を訪れてみると、コーヒーの味わいというのはさほど違いがあるわけではなく、「払った値段に応じて、一定水準の環境を確保した空間へのアクセス権込み」の価格設定であることが体得できます。

たった数百円の違いで、身を置ける環境もまた如実に異なっているというのはある意味お得な話ですので、いつも同じ喫茶店にしか行かないというのはある意味損な話です。
いつもの喫茶店の2倍の価格帯のお店を訪れていただければ、私の言わんとすることがおわかりいただけるかと思います。