勤め先によっては住居手当というものが支給されている場合があります。詳細は個々の企業によりけりですが、賃貸契約を取り交わしている物件の家賃に応じて補助を行ったり、持ち家の場合は何年間に限り何円を月々支給するという内容になっているはずです。

時代の流れでしょうか、住居手当を廃止する企業も増えています。公務員も同様であり、

(質問)
熊谷市の職員には、令和2年時点で年額 平均13万円超の持家手当が支給されています。
ご承知の通り、国家公務員の持家への手当は廃止されており地方公務員はそれにならうよう通達も行われています。一部の自治体が未だに放置しており、熊谷市はそのひとつという事になります。
さらに驚くことに新築5年以内となる支給額が上乗せされています。職員の新築のお祝いなのでしょうか?違和感を覚えます。

(回答)
持ち家に係る住居手当につきましては、平成21年に国家公務員が廃止となり、地方公務員についても廃止を基本とした見直しが求められているところです。
これらの状況に鑑み、本市におきましても廃止に向けた検討を進めてまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。

(https://www.city.kumagaya.lg.jp/shicho/mail_ichiran/R3/100.htmlより)

という質疑応答が埼玉県熊谷市のHPに掲載されていました。

ただ今も支給を続けているという優しい(?)企業もあります。とはいえこの住居手当はまれに計算間違いをしてしまうという、支給する側から見れば面倒な性質を持ちます。


住居手当の計算間違い事例

住居手当の計算の基礎となる数値というのは、普通は家賃です。
で、住居手当を申請する従業員が住居届のような書式に家賃の金額を書くわけですが、たまにやってしまうのが「毎月不動産会社に払っている金額」を記載するという間違い。

毎月不動産会社に払っている金額は家賃だから、これがなんの間違いなのだと思うかもしれませんが、契約によっては「家賃6万円、共益費2千円」のような内容になっていることも。この場合6万2千円を払うことになるものの、家賃は6万円です。

住居手当の計算の基礎となる数値には当然こうした共益費や権利金、敷金、礼金、保証金、水道光熱費は含みませんので、こういう金額含めたものを「家賃」として住居届に記載してしまうと、あなたが受け取る住居手当の金額も間違いとなります。(この記載ミスを見抜けない人事部もザルだと言えるが。)

過剰に手当を受け取っていることが発覚すると、その間違いが発覚した時点に遡って給与を返納することになりますので、手当をもらっている期間が長ければ長いほど返納する金額もまた大きくなります。

日本の法令では給与が過払いされた場合、会社から過払いを受けた本人に対し、不当利得返還請求権が生じるため、会社や給与担当者に過失がある場合でも返還の請求は可能となっています。遡って返還を請求できる期間は、原則として時効10年と考えられています。これはあくまでも「可能」であり、請求権を行使しないという場合もありますが、普通は「過剰に支払ってしまっていたので、申し訳ないが返してください」ということになるはずです。

後になってそういうことにならないためにも、住居届を記入したら、提出前にしっかり見直しをしたいものです。