円安とコロナ、そして航空運賃の高騰・・・、といった悪条件がとうとう海外オーケストラの来日公演にも影響を及ぼすようになりました。
日経新聞2022年9月12日記事「円安が一流オーケストラ来日に影 コスト高で激減も」によると、
とあります。日本の国力が落ちていることはみんな実感していましたが、とうとう「ボーダーライン」を下回ってしまったというところでしょうか。ウィーン・フィルやベルリン・フィルが毎年のように聴けたのは平成までで、これからは急激に人口が減少していくなか、日本経済がせめて20年前の存在感を維持するのは絶望的と言わざるをえないでしょう。
この記事では中規模で個性的なオーケストラやピアニスト、ヴァイオリニストの来日は増えるかもしれないと書かれているものの、あくまでも希望的観測でしかありません。中国のほうがギャラの支払いがよければそちらに足が向くのは当然のことですから。
海外旅行も2022年時点では、たとえばハワイは現地の物価上昇に加えて円安で高嶺の花となってしまいました。日本円の購買力は1970年代に逆戻りしてしまったことが要因でしょう。最近では熱海がずいぶん賑わっていると聞きますが・・・、つまりそういうことだったようです。
昔の日本のように
「ハワイは無理だから新婚旅行は熱海」
とか、
「めでたい時だけ牛丼、普段は豚丼」
のように、
「ウィーン・フィルが来なくなったから東京のオーケストラしか聴けない」
「ムターもハーンも来日しないから日本人のあいつでも聴くか」
という状況になっても私は驚きません。日本のオーケストラや演奏家の魅力を再発見できるのは悪いことではありませんが、そればかりだと世界水準の演奏に触れる機会が無くなったのをキレイに言い換えただけでしかありませんね。つまり貧すれば鈍するということですね・・・。
そもそも演奏会であれ美術館であれ、チケットを買った人だけが鑑賞できるという原則があります。
お金がない人はTVで間接的に体験できるとは言っても、あくまでもディスプレイの中の話であって本物ではありません。結局のところ、芸術にはお金が分かちがたく結びついている、これが現実なのでした。
日経新聞2022年9月12日記事「円安が一流オーケストラ来日に影 コスト高で激減も」によると、
「平時に比べるとコストは1億円増」と予測するのは、ボストン響を招くサントリーホールの白川英伸副支配人だ。大編成のオーケストラの場合、100人以上の人と楽器が移動するが、ロシアによるウクライナ侵攻や原油高などの影響で、航空運賃や燃油サーチャージは高騰している。
(中略)
加えて、円安がコストを押し上げる。パリ管を招へいするエイベックス・クラシックス・インターナショナルは入場料を当初、2万8000~1万2000円と発表していたが、チケット発売日が迫る中、3万2000~1万5000円に値上げした。同社の中島浩之社長は「円安がここまで進むとは想定していなかった」と異例の変更の理由を話す。
(中略)
さらにウクライナ侵攻や、環境問題への関心の高まりから「航空機での移動を減らすことを考える音楽家やオーケストラが増えている」(二瓶社長)。そんな中で、今年のように一流オケが短期間に4団体も来日することが、来年以降も続くかというと、疑問なのである。
(注:文中の二瓶氏は株式会社ジャパン・アーツ社長です)
とあります。日本の国力が落ちていることはみんな実感していましたが、とうとう「ボーダーライン」を下回ってしまったというところでしょうか。ウィーン・フィルやベルリン・フィルが毎年のように聴けたのは平成までで、これからは急激に人口が減少していくなか、日本経済がせめて20年前の存在感を維持するのは絶望的と言わざるをえないでしょう。
この記事では中規模で個性的なオーケストラやピアニスト、ヴァイオリニストの来日は増えるかもしれないと書かれているものの、あくまでも希望的観測でしかありません。中国のほうがギャラの支払いがよければそちらに足が向くのは当然のことですから。
海外旅行も2022年時点では、たとえばハワイは現地の物価上昇に加えて円安で高嶺の花となってしまいました。日本円の購買力は1970年代に逆戻りしてしまったことが要因でしょう。最近では熱海がずいぶん賑わっていると聞きますが・・・、つまりそういうことだったようです。
昔の日本のように
「ハワイは無理だから新婚旅行は熱海」
とか、
「めでたい時だけ牛丼、普段は豚丼」
のように、
「ウィーン・フィルが来なくなったから東京のオーケストラしか聴けない」
「ムターもハーンも来日しないから日本人のあいつでも聴くか」
という状況になっても私は驚きません。日本のオーケストラや演奏家の魅力を再発見できるのは悪いことではありませんが、そればかりだと世界水準の演奏に触れる機会が無くなったのをキレイに言い換えただけでしかありませんね。つまり貧すれば鈍するということですね・・・。
そもそも演奏会であれ美術館であれ、チケットを買った人だけが鑑賞できるという原則があります。
お金がない人はTVで間接的に体験できるとは言っても、あくまでもディスプレイの中の話であって本物ではありません。結局のところ、芸術にはお金が分かちがたく結びついている、これが現実なのでした。
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