電車の広告にも進出してきたのがマッチングアプリのOmiaiです。

使ってみると男は有料で無理ゲーをプレイ、女は無料で男を選び放題という理不尽な光景が広がっていました。
では女性はすぐに男を捕まえるかというと案外そうでもないらしく、理論上無限に出会いを繰り返すことが可能であるため、「次に会う男性はもっと素敵かもしれない」と思っていつまでも踏ん切りがつかず、次から次へ・・・、というループに陥ることもあるとか。

しかも男性・女性ともに一握りの会員が人気を独占する傾向があるため、「そうじゃない人」はただの養分にしかなれません(ワイ)。

仕方ないので男はバラマキ戦略を取らざるを得ません。現実には100のいいねをばらまいてマッチングするのは3~4人、実際に会えるのは1人。でもその女性には100も200も男性会員から「いいね」を送られているわけですから、その中のナンバーワンにならなければ交際まで発展しないというのが実情です。実際に会えただけでもベスト4くらいには入っているはずですが、それを言い換えると「あなたが滑り止めである確率は75%」です。ね、無理ゲーでしょ?

そういうものだと割り切って「いいね」を連発してマッチング。で、メッセージのやり取りを続けていると唐突に連絡が途絶えることがあります。
いったいなぜ・・・。


マッチングアプリOmiaiでプロフィールを盛る人。「誠実な人が好き」と書いてあるのにお前が不誠実なのはなぜ?


メッセージが突如途切れる理由は大体察しがつきます。
間違って「ありがとう」を押してしまった。最初のメッセージがテンプレだったので無視することにした。たくさんの「いいね」が殺到して自分はモテると勘違いした(でも本当にモテるんなら婚活などしなくても済むはずです)、あなたとメッセージのやり取りをしている間に他の男と仲良くなった、マッチングアプリそのものが面倒になった(無料なのでありがたみを感じない)・・・。

本当の理由など藪の中ですが、まあ大体こんなもんでしょう。

ウケるのが、「誠実な男性が好きです」などと書いている割には突如としてメッセージに応答しなくなるパターン。お前全然誠実じゃないぞ。

・・・と、こういう不毛なやり取りをしているうちに、私はあることに気づきました。

「誠実な男性が好きです」などというプロフィール文章は、「そう書いてあるだけ」であって、べつに真実ではないのです。というかべつに全然真実じゃなくてOKなのです。

私は何も嘘を奨励しているわけではありません。
でも「環境技術で世界をリードする〇〇テクノロジー株式会社」なんていう看板を街で見かけたとして、あなたは「へえ、この会社環境技術がすごいんだ」なんてそのまま信じるでしょうか。きっと信じないでしょう。「ああそうですか」くらいにしか思わないでしょう。

新卒採用の仕事をしろと上司に言われて目を通した履歴書に「私はリーダーシップがあります。バドミントン部の副部長で、地区大会に準優勝し」などと書いてあったとして、あなたはこの人にリーダーシップが備わっていると信じるでしょうか。これも信じないでしょう。

「高田馬場至高のラーメン」なんてキャッチコピーも、信じてはいけません。このラーメン屋が激ウマかどうかは客が決めることであって、あくまでも自称にすぎないのです。

つまり「誠実な男性が好き」「休日はジムへ行ったり友人とランチしています」なんていう自己紹介文は、あくまでも「そう書いてある」だけであって、至高のラーメンと同じく実態に基づいているかどうかはまったく別の話なのです。

え、ひどいことを書くと? いえいえ、世の中には「そう書いてあるだけ」の言葉で溢れかえっているじゃありませんか。学生の履歴書、都知事選の公約、東スポ、バラエティ番組の字幕、スマホの料金プラン・・・。「誠実な男性が好き」などといった自己紹介文もこの延長線上にあると理解すべきでしょう。

余談ながら私は以前大学入試の仕事をしていたことがありました。AOや推薦入試で「核兵器廃絶のために努力したい」「貧困の連鎖を食い止めたい」などと、課題の小論文で地球規模の悩みを吐露する受験生の多いこと多いこと。でも、入学したら学食でカップ麺をすすりながら「おすすめのアニメおしえて」。おい。

採用の仕事をしたこともあります。「御社に合格した暁には、〇〇の業務に邁進して云々」とやる気満々の応募者。しかしこいつは内定した途端、給料と休みのことばかり質問してきたのです。

このように「言葉」「文章」というのはあくまでも「言葉」「文章」にすぎず、事実かどうかはまったく別物です。マッチングアプリのプロフィール文は東スポだと思っておくくらいでちょうどいいでしょう。

かつてひろゆき氏は「うそはうそであるとか見抜ける人でないと(インターネットを使うのは)難しい」という名言を吐いたことがあります。マッチングアプリもインターネットの一部であることに注意したいですね。

それにしてもマッチングアプリを使うと次から次へと人が出てくること出てくること・・・。使い続けるうちに「人間がゴミのようだ」なんて思うかもしれませんが、言ってはいけません。ブログ記事にするくらいにとどめておくのが大人のたしなみでしょうね。