世の中の出来事はすべて科学的に説明がつくはず・・・。たとえば海の潮の満ち欠けとか、地震のあとに津波が起こる理由とか、船がなぜ水に浮かぶのかとか・・・。

ところが本当に不思議なもので、社会的に「奇跡」と認められているものがあります。

ルルドの泉。

ルルドはピレネー山脈の麓、フランスとスペインの国境にある町です。
ここに奇跡を起こす泉があることで名高く、多くのキリスト教者が巡礼に訪れており、なおかつ実際に病気が癒えるという不思議減少が何度も起こっているのです。

ルルドの泉の起源は、
1858年に遡ります。貧しい家の14歳の少女ベルナデット・スビルーはマサビエルの洞窟で薪拾いをしている時、若い婦人が現れ、洞窟の土を手で掘るようにとお告げがありました。すると泥水がわき、徐々に清水へと変化したのです。のちに少女はその婦人が聖母マリアであることを知り、驚くべきことに泉には病気を治す力があることがわかったのです。

(https://www.travelbook.co.jp/topic/42832より)

なんというありがたい泉でしょうか。でもそんなはずはありませんよね。
1912年にノーベル生理学・医学賞を受賞したフランスの外科医、アレキシス・カレルも同じことを考えました。そして自らルルドに足を運んで、「そんなはずはない」ことを確かめようとします。

・・・が、そのカレル自身が巡礼者たちに同行した結果、奇跡を目撃してしまうのでした。
結核性腹膜炎という、私は聞いたこともないような病気に罹った女性のことを巡礼当初からずっとカレルは診察していました。もう長くはない、そんな状態にあった彼女ですがルルドの泉の水を浴びるとたちまちのうちに回復してしまったのです・・・。

ノーベル賞を受賞するくらいですからカレルは抜きん出た理系人材。その彼にしても、なぜこのような奇跡が起こったのか突き止めることはできませんでした。

同じことは21世紀でも起こっています。

[ボーベー(フランス) 13日 ロイター] - フランス南西部のルルドを訪ねた後に坐骨神経痛に伴う長年の歩行困難から快復したカトリック修道女の例が先週、居住教区の司教により、ルルド70例目の奇跡と認定された。

快復に対する医学的な説明がつかないとの医師団の判断を受けたもの。

修道女はベルナデット・モリオーさん(78)。人生の半分余りにわたって坐骨神経症に伴う歩行困難に苦しみ、長年鎮痛のため多量のモルヒネを常用していた。

モリオーさんは13日、2008年7月にルルドを訪ねた数日後、圧倒的に強烈な健康感がみなぎったと述懐。長年曲がったままだった足の添え木を外して足を延ばし、普通に歩き始めたと説明した。

(https://jp.reuters.com/article/lourdes-idJPKCN1FZ0AFより)

大ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』の著者でありノートルダム清心女子大学長、ノートルダム清心学園理事長を歴任した渡辺和子さんもルルドを訪れたことがあり、やはり似たような奇跡に遭遇していたのです。

そのときたまたまフランスに滞在していた渡辺さん。信者としては名ばかりの生活を送っていた彼女は、ちょっと行ってみるかといった軽い気持ちでルルドへ向かいます。
が、切符を買った直後から高い熱を出し、ひどい咳に悩まされることになります。
行くべきか、下宿で寝ているべきか・・・。思い悩んだものの結局はルルド行きを決めます。

列車に揺られること数時間、ピレネー山脈のほとりのルルドに到着して早めの夕食をとっていると、「今からマリアを讃えてのローソク行列が始まります」というアナウンスが入り、渡辺和子さんもこの行列に加わることにしました。この街では「体調不良なら寝ていなさい」ではなく、「早く行って治して来なさい」になるのでした。

雨が降りしきる中、人々の波に揉まれながら「アヴェ・マリア」を歌いながら広場を巡回していると・・・、不思議なことになんと咳が止まっているのです。雨に濡れ、歌を歌っているというのにです。

つつがなく行列を終え宿に戻ると主人がしたり顔に、
「どうだ、咳がなおっただろう」
という。その夜は久しぶりに熟睡し、翌朝、洞窟でのミサにあずかってからヨーロッパ一周の旅をつづけたのであった。私は信者でありながら、どうも奇跡というものに親しめない人間である。しかしながら、十数年前このルルドでおこったことだけは、自分でもどうにも説明できないで今日に至っている。

(『美しい人に 新装版』より)
世の中にはなんとも、科学では説明がつかないことがあるようです。ああ、なんと不思議なことでしょう・・・。