もうタイトル通りですが、ヴァイオリンの駒というのは重要なもの。定期的にチェックしたほうがいいようです。というか、ちゃんと職人さんに歪みを直してもらうべきです。

かくいう私も毎日あまり気にしないで練習していました。弾いている側から駒を見ると、角度がおかしいかどうか視認しづらいのも原因でした。

で、ある日楽器を片付けようとすると、ふと駒が目に止まりました。


歪んどるやんけ!!



本来なら直角に立っているはずの駒が87度くらいの角度になっています。こりゃ良くないわ。
そう思った私は数日後、時間をつくって職人さんのところへメンテナンスに出しました。
おかげで今では駒の調整が完了し、一安心。もし気づかなかったら悪いものを悪いと気づかぬまま時間を失っていたことでしょう。危ない危ない。


ヴァイオリンの駒のコンディションが悪いと起こりがちなこと

率直に音が悪くなった、響きにくい、強弱が付かない、引きにくい、移弦をしたり重音のときに隣の弦に当たる、弦が切れがち、駒が折れそうだ・・・、実はこれらはすべて駒の不調に由来します。

駒のコンディションが悪いといっても、「悪さ」には色々な「悪さ」があります。
駒が左右にずれている、前後にずれている、その両方・・・。更には弦が駒に食い込んだ、駒の高さが不足している、関連して指板が徐々に下がってきて弦高が高くなってきてハイポジションが弾きづらい・・・。ステルス地獄です。

しかもこういう駒がずれるという事象はほとんど不可避のようです。
なぜならヴァイオリンには弦交換がつきもの。ところがどのような弦であっても新しい弦に交換すると、いつかは必ず伸びていってしまうものです。職人さん曰く、4本の弦で十数キロの圧力がかかっているとのこと。24時間そんな状態ですから、だんだんと前方に駒が倒れてきます。思い返すに、私の駒がまさにそんな感じでした。

でも、傾いた駒を、あなたは自身をもって直角に直せますか? たぶん無理でしょう。ダメ元でトライして、「バキッ」という音とともに破壊してしまうのが関の山でしょうね。そういう時のために職人さんがいるわけですから、餅は餅屋とはよく言ったもので・・・。

せめて大事に扱ってあげよう? 甘いですね。きれいに掃除しようとして、クロスの縁を駒のギザギザしたところに引っ掛けて折ってしまうなんていうこともリアルにあります。
それにしても重要な部品なのに、繊細で壊れやすいだなんて理不尽な話です。いや、ヴァイオリンという楽器自体そもそも理不尽なものだということは、弾いている人なら全員熟知していることでしょう・・・。

ちなみに本来なら駒はヴァイオリン一つ一つの個性つまり大きさやf字孔の幅などを考慮して手作りで製作されるべきものですが、現代では案の定大量生産品に取って代わられました。ただし本当に最初から最後まで手作りで仕上げられた駒は量産型と比べると音や耐久性で段違いだとか。まあそんなものを使っているのはプロのなかでもほんの一握りでしょうね、きっと。

なお、本記事の作成にあたっては『ヴァイオリン・ハンドブック』も参照しました。
普通に読むだけならそれほど面白いことが書いてあるわけではないのですが、ひとたび自分の楽器がトラブルに見舞われると「どうしてそうなったのか?」がよく分かる、ありがたい本です(というのは自分がそういう目にあって初めて分かる)。ヴァイオリンを弾くならこの手の本を常備しておくべきでしょう。