トルストイ『戦争と平和』といえば世界文学の金字塔! シェイクスピアやドストエフスキー、ゲーテと並び称されるトルストイの代表作が『戦争と平和』です。

タイトルからして「AとB」のように対比関係が見られ、いかにも西洋的発想です。
ロシアは「見た目はヨーロッパでも頭の中身はモンゴル帝国」(キッシンジャーが言ってました)なので西洋と断言しづらいですが、『老人と海』『赤と黒』『ナルチスとゴルトムント』『罪と罰』のように「AとB」式のタイトル名はやはり欧米の文学に多いです。

しかしこの『戦争と平和』はめちゃくちゃ長い。ひっくり返るほど長い。登場人物は559人! でも挫折しちゃった人はその1万倍ぐらいいるはずです。

「戦争と平和」の登場人物の数は何と559人。ストーリーが複雑に入りくんでおり、極めて難解ですが、最も大きな役割を担っているのは3人です。

(https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/23_w_and_p/index.htmlより)
その3人というのが、まず莫大な財産を相続してしまったピエール。突如大金持ちになってモテ期がやってきます。女って分かりやすいですね。男をATMにするな。

次にアンドレイ。勇敢な軍人でピエールの数少ない友人。私には友だちがいないのでここまで書いてちょっとイラッとしました。

最後に天真爛漫な少女ナターシャ。ピエールとアンドレイはともにナターシャに恋をします。そして激動の時代のさなかにあって、生と死、そして愛の意味を知ることになるというもの。

なんだ、登場人物って3人で済むじゃないか、だったらもっとコンパクトに作れんのか! と怒りたくもなりますが19世紀といえば途方もない規模の文学が多数産み出された時代でした。発展途上国に限って大型ビルとかタワーを建てたがるように、文学というジャンルもこの時期にはまだまだ開拓の余地が大いにあったのでしょう。

ちなみに田中芳樹さんの代表作『銀河英雄伝説』の登場人物は610人だとか。
栗本薫さんが未完のまま旅立たれた『グイン・サーガ』にいたっては、登場人物総数は・・・、調べてみたもののわかりませんでした。


『戦争と平和』を挫折しないためには?

というわけで登場人物なら『銀河英雄伝説』とか『グイン・サーガ』並みの大作なのが『戦争と平和』です。ぜんぶで2,500ページほどもある膨大なスケールを誇る一方で、ラインハルトとかヤン・ウェンリーのような魅力ある人物が出てくるわけでもなく、「いったいこの場面は何のために?」というような文章の羅列でしかないようなページだらけ。

ひどい書き方に聴こえるかもしれませんが、実際読んでみるとそうとしか思えないのが『戦争と平和』です。でも私はこれはこれでいいと思っています。トルストイは私を楽しませようとしてこの作品を書いたわけではありませんから。

『戦争と平和』を挫折しないためには、こういう冗長なシーンも「これはそういうもんなのね」と割り切って理解できなくてもとりあえず前に進むのが吉だと思います。美術館でもありますよね、何なのかよくわからない巻物とか仏像とか・・・。謎に長い社交とか戦争とかの場面も「当時はこういう人がいてこんなことをしていたんだ」ぐらいに受け止めて、「なんで俺はこれを理解できないんだ」などと自分を責める必要などないでしょう。

そもそも人生において「これを読まなければならない」というものはありませんから、つまんないと思えば読むのをやめても構いません。むしろそれで浮いた時間で筋トレでもしているほうがQOLは向上するかも・・・。たとえ『戦争と平和』といえどもそれくらいの付き合いで十分ではないでしょうか。