2020年6月というコロナの超序盤に開業した向こう見ず(?)な東京ガーデンシアターは横に広く、ほとんどの座席からそれほどの距離を感じずにステージを眺めることができるいいホールです。
最寄り駅がりんかい線国際展示場駅またはゆりかもめ有明駅であり、ちょっと微妙な場所に立地しているのが玉にキズながらも駅からは徒歩5分ほど、しかもエントランスホールもトイレも広々としていて、来館体験を十分に考慮していることがうかがわれます。これが令和のイベント会場のスタンダードになればいいと思います。
これにくらべると日本武道館なんて、通路幅は狭いわ、階段も狭いわ、トイレも狭いわ、座席も狭くて何もかも狭い、さらにはエアコンを6月とか9月に使えないとかいう人を殺す謎ルール。日本がまだ発展途上国だったころの設計思想としか言いようがありません。
この東京ガーデンシアターでさらによかったのが、座席幅が十分に確保されていることです。
先日訪れた、横浜のみなとみらいのぴあアリーナMMは座席幅が神奈川県の条例ぎりぎりの420mm。狭い・・・。東海道新幹線の座席幅が440mmですから、これは辛い。しかもライブだとうちわとかペンライトを振ったりするので、なおさら辛い・・・。
「まさか東京ガーデンシアターも同じなんじゃ?」という一抹の不安は、着席して、いえ着席する前から払拭されました。なにしろ座席の前後の幅もかなりゆとりがあり、すでに着席している人の前を「すいません」とか言いながら横切るとき、足元をあまり心配しなくても進めるくらいのレベル。つまりはサントリーホールとか東京文化会館と似たような前後幅です。これくらいあれば十分でしょう。
さらに座席そのものの左右の幅にも納得。これはどうやら株式会社オカムラが納品したようです。
株式会社オカムラ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:中村 雅行)は、2020年6月17日に開業した劇場型イベントホール「東京ガーデンシアター」(東京都江東区・有明ガーデン)へ劇場イス約7000席を納入しました。
東京ガーデンシアターの劇場イスは、メッシュの背もたれと体圧を分散するクッションを使用した座により、包み込むようなハイグレードな座り心地を実現。軽量化により、大規模空間における設営負荷を軽減します。
オカムラが長年にわたって培ってきたシーティング技術をもとに、快適な座り心地と安全性、メンテナンスのしやすさなどに配慮し、長く快適にお使いいただけるように仕上げました。(https://www.okamura.co.jp/company/topics/product/2020/tokyo_garden_theater.htmlより)
一体どんなスペックなのか? このニュースリリースには椅子の機種名までは書かれてないので、同社のカタログから調べてみました。
東京ガーデンシアターの座席が快適。左右の幅は?
・・・調べてみましたが、ニュースリリースに掲載されている座席の写真とまったく同じモデルの椅子というのはカタログに掲載されていませんでした。ということは特注品なのかもしれませんが、似たような形状のものがありました。8081(移動席/ネスティング)というもので、左右の幅は465mm。JALのHPには「JAL SKY SUITE 777 約47cm」とあります。これは1,000円上乗せすると着席できる「クラスJ」ですね。これと5mmの違い。
つい先日訪れたぴあアリーナMMの座席が狭かったという辛い記憶が新しいうちに東京ガーデンシアターの座席に着席しているので、体感的にもここのホールの座席幅は465mmか、これに近い幅だと考えて間違いないでしょう。
・・・と、ここまでお読み頂いて「なんでコイツはこんなに座席幅にこだわるんだ?」と思われたかもしれません。いえ、前後左右にどれくらいの密度で人がいるのかというのは、ホールイベントでの快適性にかなり関わってくるものです。人が密で通りづらいとか、真横に大柄な人がいるとか、こういうのでかなり興が削がれます。
おそらく東京ガーデンシアターもそういうことをきちんと考慮してこういう座席を配置し、エントランスはこう、トイレはこう、と設計していったのでしょう。建設に携わった方たちの地道な工夫の跡がしのばれます。これから10年、20年と様々なイベントがこの場所で開催され、令和の若者たちの記憶が蓄積される「思い出の場」となることを大いに期待します。
注:本記事は2022年6月19日(日)、東京ガーデンシアターで開催された「ラブライブ!スーパースター!! Liella! ライブ&ファンミーティングツアー 〜Welcome to Yuigaoka!!〜」に参加したときの感想をそのままに書き記し、さらに調べて分かった事実を加味して作成しました。
コメント