都会に住んでいると、ヴァイオリンを取り扱っている楽器店の多いこと多いこと。

岡山県倉敷市出身の私は高校3年のときにイオンモールが近所にできて、島村楽器が入店してくるまで「ヴァイオリンがお店で販売されている」という光景を見たことがありませんでした。
そもそもヴァイオリンを弾いているという人に18年間巡り合ったことがないです・・・、という話を福島県いわき市出身の同級生にしたら「俺もなかった」。地方都市ってそんなものです。

そういう人が東京にやってくると「なんでこんなにヴァイオリンやってる奴が多いの!?」と面食らうこと間違いなし。そりゃ楽器店もたくさんありますわ。JR中央線なんて、「駅の数だけオーケストラがある」なんて言われるくらいですからね・・・。

という環境に慣れてしまうと「ヴァイオリンの弓の毛替え? ヴァイオリンの調性? ふっ、あそこのお店に預けときゃOKさ」と無駄に安心してしまうのです。


案外思うようにいかないヴァイオリンの調整、弓の毛替え

安心してはいけません。前もって電話したほうがいいです。できれば行こうと思っていた前日とか当日に。なぜって、こういうことが本当にあったからなのです・・・。

「あの、すいません、明日ヴァイオリンの弓の毛替えをお願いしたいんですけど」

「いや、じつは今すごく混んでまして、普通なら3,4時間でできるんですけど、今は3日~4日くらいかかってしまいます」

ぇ。そんなにかかるの。この電話のやり取りをしたのは4月1日。つまり新学期で「音大に入るから入学式の前にいっちょ毛替えしとけ。奮発してモンゴルじゃなくてシベリアにしたるわクックック」とか思ってる人が山のようにいたのでしょう。

というわけでこの時は断念。
で、6月になって今度は某クロサワバイオリン新宿店に電話しました。
「あの、すいません、今日ヴァイオリンの弓の毛替えとヴァイオリン本体の調整をお願いしたいんですけど」

「アッー! すいません、新宿店は移転することになりまして、今現在修理などの受付を停止しているんですすいませんすいません」

これはさすがに危なかったです。ここなら絶対やってるだろうという安心感から、銀座で人に会う用事を済ませる前にここに立ち寄って楽器を預けようと思っていました。何なら電話すらしないでいきなり飛び込むところでした。で、店頭で断られて、ヴァイオリンケースを抱えたまま銀座へヨタヨタと出かけた挙げ句、そこで会う人からは「なんじゃこのケースは。自分はヴァイオリニストですアピールでもしたいのか? うざ・・・」とか思われていたでしょう。危ない・・・。

さらに私は某島村楽器国分寺店に電話しました。ここも有名な店だから問題なく受け付けてくれるだろう・・・って考えが甘かったですね。
「あの、すいません、今日ヴァイオリンの弓の毛替えとヴァイオリン本体の調整をお願いしたいんですけど」

「はい、お受けできるのですが、一旦シマムラストリングスというところへお送りしまして、そこでお見積もりを行います。その価格が~(中略)、かくかくしかじかの作業で3週間程度かかります」

「・・・3週間・・・。わかりました。ちょっと検討いたしますね。ありがとうございました(ガチャン)」

さすがにサブのヴァイオリンと弓を使えば問題なく練習は継続できますが、3週間もいつもの楽器が使えないのはたまらん。これも事前に電話しないで飛び込んでいたら店頭でそんなことを告知されて愕然となっていたでしょう。この場合でも国分寺から楽器ケースをかかえて銀座まで行く羽目になっていました。結局この時は楽器店には行かずに銀座に直行しました。

2021年現在ですと、この他にも「出勤しているはずの人がコロナの影響で出勤できなくなり、修理の手配ができなくなってしまった」とかいう状況も想定しておかなければなりません。なんとも面倒な・・・。

このように都心という音楽的には恵まれた環境でありながらも、実は案外そうでもなかったということが往々にしてあります。高額な楽器を運搬するリスクを考慮すると、行けば何とかなるだろうではなく、事前にちゃんと電話して状況を調べておくことは大事ですね。