大学入試で数多くある入試制度のうち、秋には合格が決定するのが指定校推薦。
「あなたの高校から1名を本学の学生として迎え入れたい」のような条件なので、これを志願する人が複数いると校内の選抜が始まることになります。
いえ、実際には1名しかいなくても「こんなろくでもない奴をうちの大学に押し付けやがって」ということになるので、高校の中で設定した基準を満たしていないと推薦してもらえないこともあります。たとえば欠席が3年間を通じて何日以内とか、英検は何級以上持っているとか。

こういう学内の選抜を経て初めて校長先生が推薦書を書いてくれることになります。
しかしここまでくればまず安心。指定校推薦は試験当日は面接だけ、なにかテストがあったとしても小論文など軽めの課題が課されるだけで、合格率はほぼ100%。これで秋に合格が決まるのは心理的にとても楽ですね。

とは言っても入学してから、その後が大変なパターンもあります。

指定校推薦で入学したら後が大変になるパターン

たとえば「秋に合格したら安心してしまって、その後ろくに勉強しないで大学に入った」という場合。
高校によっては「たとえ指定校推薦で合格が決まっていても大学入学共通テストまでは他のみんなと一緒に受験しろ」という指導をするところもあります。

まあそれでも一般入試を受験する人に比べて勉強に身が入らないというのは人間の心理として当然でしょう。

で、高校の勉強がおろそかなまま入学すると、大学の勉強についていけないとかいうパターン。最悪ですね。

これで心機一転、挽回できれば問題ないのですが危険なのが「まあとりあえず入学できたし、4年で卒業できればそれでいいや」と思ってしまう場合です。

実は大学というのは「どの入試方式で入学してきたか」「その後、この学生の成績はどうか」ということを一人ひとりデータとして把握し、追跡調査をしているものです。だから「こいつは指定校推薦で入学してきたけど、成績がすごく悪いじゃないか」とマークされる可能性があります(マークされていることは、普通本人に告知されません。知らぬが仏です)。

そのまま成績が悪いままだと、「この高校から学生を入学させたが、まずい判断だった。もうこの高校の推薦枠は取り消そう」という可能性があります。これは最悪の場合ですが、自分の行いが悪かったせいで後輩の道を閉ざしてしまうこともありうるのです(これも、本人は何一つ知らない)。

このように、一見楽に見える指定校推薦ですが自分のせいで後輩に迷惑をかけることがあるという意味で、後が大変だったりすることもあります。ほぼ確実に合格できる入試制度ですが、実はこういう「裏」があるので出願にあたってはそういうことも十分念頭に置いておきましょう。

これ以外でも、合格決定後になにか不祥事をしでかしてしまった場合。例えば喫煙とか飲酒をSNSに投稿し、大学にバレてしまうというのがこれです。とはいえ大学はあなたを処分できるわけではありません。入学前なのでまだ学籍が発生しておらず、そもそも処分できるはずもないのです。高校にバレてしまった場合でも、合格を決定したのは大学であって高校ではないので合格取り消しということはほぼないでしょう。でも周りの目はものすごく冷たくなるでしょうね。

まあ、指定校推薦を受けようという人は真面目な人が多いので(そういう人しか学内選考に残れないので)こんなことになる可能性は低いですけれども、こういうことがあるというのは頭に入れておきたいですね。