ヴァイオリンを弾くというのはとても難しいものです。ピアノみたいに鍵盤を押さえれば音が出るわけでもなく、ギターみたいにフレットがあるわけでもなく。

ただただミリ単位で指板の正しい場所を押さえないと正確な音程を取ることができません。
しかも右腕で弓を操作して、なるべく弦に対して直角に当てながら適切な力量とスピードで押したり引いたりしなければなりません。なんというハードルの高さ! 

この絶望的な壁の高さにがっくり来て挫折してしまう人のなんと多いことか。
私の肌感覚ではヴァイオリンを初めて1,2年くらいでやめてしまうというのが本当に多いパターンです。本当は10年くらい続けて「なんとか形になってきたかな」というくらいです。

「こんな調子じゃ私は協奏曲を1曲まともに仕上げたら人生終わっちゃいますね」と先生にポロッと言ってしまったことがあります。
先生は「はい、そういうもんですヴァイオリンは。誰がやってもそれくらい時間がかかるんです」と真顔。なんだそれは・・・。

子供の頃から英才教育を受ければもっと上達は早いはずですが、プロを目指す子供は親もヴァイオリニストだったり音楽家だったりで、怒られながら楽器に向き合うというパターンがありがちですね。果たしてそれで幸せなのか、その労力を受験勉強に費やしていれば確実に東大に合格できるだろうに・・・、とふと思う私でした。

というわけでヴァイオリンの曲を演奏するにはもはや苦労しかありません。それを趣味にしようというのはよほど忍耐強い人なのか、それしかやることがないのか・・・。ともあれ曲を確実に演奏するためにかなり苦労します。


ヴァイオリンの曲を確実に演奏するに必要なもの

やはり、音階です。NHK交響楽団のコンサートマスター篠崎史紀さんも「音階の上達なくしてヴァイオリンを弾くことはできない」と断言しています。

たしかに、ある意味すべての曲は音階だといえます。言い換えると、おたまじゃくしの上下運動ですね。一定の法則性や作曲家のインスピレーションにもとづいておたまじゃくしが上に行ったり下に行ったり。その動き方が素晴らしければ「なんてきれいなメロディなんだ!」ということになります。

逆に、おたまじゃくしが上に行き過ぎたり、下に下がりすぎたりすると「なんだか音痴」になりますね。それがアマチュアヴァイオリニストの「あるある」です。

どうしてそういうことが発生するのか? 自分なりに振り返ってみると、指の位置を自分で把握していないことにありました。

曲の途中でポジションチェンジというのは頻繁に発生します。2ndから4thとか、1stから3rdとか、4thから6thとか。ところが、自分が今どのポジションにいるのかを頭の中できちんと理解しないまま「楽譜に4thって書いてあるから4thなんだろう。この音を4の指で取れってことはきっと5hなんだろう」などと漠然と構えていると、音程が非常に不安定になります。じつは1つ下のポジションを維持したまま、小指だけちょっと伸ばして次の音を取れという指示だったりすることは頻繁に起こっています。


たとえばこういう場面があったりします。これはブルッフの『ヴァイオリン協奏曲第1番』の冒頭のメロディ。
bruch

ミから始まって高いソの音まで駆け上がってから、ソ♯ファソ♯ファを連打。
ここで弾き方は色々あると思いますが、高いシまでは1stポジションで弾くことができます。もちろんそれ以前の音でポジションチェンジしてもいいでしょう。

ただそこから先は5thとか6thを使うことになるはずです。
問題は、どの音でどのポジションに移動し、移動したら1の指はどこを押さえ、1の指と2の指の距離はどうか。2の指と3の指の距離はどうか。3の指と4の指の距離はどうか・・・、ということを理解しているか、いないのかということです。

これを理解しないと、4つの指がまるで連動しないまま個別に音を出すことになるので、すべての音が微妙にずれてしまいます。
どこでポジションチェンジするのか明確にし、一度動いたらそこからスケールを「シドレミ」などと弾いてみて音程を確かめてみるべきです。

めんどくさい? いえ、これが一番手っ取り早いです。少なくとも私はそれをすることで音が頻繁に上下する曲でもかなり音程がマシになりました。ヴァイオリンの曲で音程が改善されるって、かなりのアドバンテージです。

本当かよ? と思った方、ぜひ一度トライしてみてください。