これは「平成12年7月7日(金)教育改革国民会議第1分科会(第4回)資料」からの引用です。
「一人一人が取り組む人間性教育の具体策(委員発言の概要)」として、次のように書かれています。
子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう
「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う国民会議の提言を広く国民に知らせるための積極的な活動家庭教育について対話できる土壌をつくるため、企業やテレビと協力して古来の諺などを呼びかける子育てにおいて必要な事項を決めた育児憲章を作る家庭教育手帳の年度毎の更新、配布義務教育年限の子どもの扶養控除額を100万円に引き上げる出産後の親業教育の義務化バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う
とくに太字の部分が笑えます。この提言を行ったのは教育改革国民会議。
そのメンバーは、
座長 江崎 玲於奈 芝浦工業大学学長
浅利 慶太 劇団四季代表
石原 多賀子 金沢市教育長
今井 佐知子 社団法人日本PTA全国協議会会長
上島 一泰 社団法人日本青年会議所会頭
牛尾 治朗 ウシオ電機会長
大宅 映子 ジャーナリスト
梶田 叡一 京都ノートルダム女子大学学長
勝田 吉太郎 鈴鹿国際大学学長・京都大学名誉教授
金子 郁容 慶應義塾幼稚舎長
河合 隼雄 国際日本文化研究センター所長
河上 亮一 川越市立城南中学校教諭
木村 孟 大学評価・学位授与機構長
草野 忠義 連合副会長
グレゴリー・クラーク 多摩大学学長
黒田 玲子 東京大学教授
河野 俊二 東京海上火災保険株式会社取締役会長
曾野 綾子 日本財団会長、作家
田中 成明 京都大学教授
田村 哲夫 学校法人渋谷教育学園理事長
沈 壽官 薩摩焼宗家十四代
浜田 広 リコー会長
藤田 英典 東京大学教育学部長
森 隆夫 お茶の水女子大学名誉教授
山折 哲雄 京都造形芸術大学大学院長
山下 泰裕 東海大学教授
(https://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/meibo.htmlより)
浅利 慶太 劇団四季代表
石原 多賀子 金沢市教育長
今井 佐知子 社団法人日本PTA全国協議会会長
上島 一泰 社団法人日本青年会議所会頭
牛尾 治朗 ウシオ電機会長
大宅 映子 ジャーナリスト
梶田 叡一 京都ノートルダム女子大学学長
勝田 吉太郎 鈴鹿国際大学学長・京都大学名誉教授
金子 郁容 慶應義塾幼稚舎長
河合 隼雄 国際日本文化研究センター所長
河上 亮一 川越市立城南中学校教諭
木村 孟 大学評価・学位授与機構長
草野 忠義 連合副会長
グレゴリー・クラーク 多摩大学学長
黒田 玲子 東京大学教授
河野 俊二 東京海上火災保険株式会社取締役会長
曾野 綾子 日本財団会長、作家
田中 成明 京都大学教授
田村 哲夫 学校法人渋谷教育学園理事長
沈 壽官 薩摩焼宗家十四代
浜田 広 リコー会長
藤田 英典 東京大学教育学部長
森 隆夫 お茶の水女子大学名誉教授
山折 哲雄 京都造形芸術大学大学院長
山下 泰裕 東海大学教授
(https://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/meibo.htmlより)
このうちだれが「バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う 」と言ったのかわかりませんが、いまではバーチャル・リアリティはVRと略されて用いられるのが普通であり、ほんの20年ほどまえには悪者視されていたのだと思うと隔世の感があります。
新しい技術はいつも悪者にされる
おしなべて、新しい技術は悪者にされます。
シャープペンシルを使うと日本語が書けなくなるとか目に悪いとか、ワープロを使うと日本語の乱れの原因になるとか、数十年前はそういうことが言われていたのです。
今ではシャープペンシルもワープロも社会の一部に完全に溶け込んでいます。ワープロはワープロ専用機というものは姿を消しましたが、Wordというマイクロソフトの文書作成ソフトはほとんどの人が使ったことがあるはずです。
ところが当時はその「新しさ」ゆえに一部の人たちが拒否反応を起こし、「これまで通りのほうがいいんだ!」と主張していただけなのでしょう。
もちろんシャープペンシルやワープロを使ったことによって悪い結果がもたらされたという、信頼できる統計などはありません。エビデンスがないのに勝手にそういうことを言っているんですね。
他にも新しい技術が叩かれるという例はたくさんありますが、こういうバイアスは私たちだけではなく、多かれ少なかれ人間に共通の心理でしょう。人間の頭脳には、未知の危険に対する恐怖と反射的な行動が埋め込まれているのですから。
それにしてもこの提言は見れば見るほどひどいです!
「子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう」。
子どもを敵とか家畜のように見ているのがミエミエ。
「「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う」。
いえ、そもそも日本人自らが変わろうとしていません。だから勝手に衰退していますよ。この予言はアタリですが、だからといってこの会議のメンバーが衰退を食い止めるために具体的に何かをしたわけではありません。
話を本題に戻しますと、人間の生活を変えるのは政治ではなく、えてしてテクノロジーです。
20世紀だけでも発電所、自動車、電話、飛行機、そして携帯電話にインターネット。大統領や総理大臣が発明したわけではありませんが、あるのとないのとでは大違い。どれ一つとっても「なかったほうがよかった」と言えるものはないでしょう。
そう考えると、「〇〇は悪である」のような言い方がされたときは、長期的にみれば事実はその逆だととらえておいたほうがよいでしょう。多分仮想通貨(ブロックチェーン技術)もいずれ私たちの生活に組み込まれる時代が来るはず。いまのうちにビットコインとかを買っておけば、10年後に一財産できているかもしれませんね。
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