「食べないと死んじゃうよ」「寝ないと死んじゃうよ」みたいな言い方って日常生活で普通に使ってしまいがちです。

カリフォルニア大学バークレー校教授、マシュー・ウォーカー氏の著作『睡眠こそ最強の解決策である』を読んでいると、「寝ないと死んじゃう」のは本当だと思い知らされました。

歴史上、本当に「眠らなくて死んでしまった」という人がいたのです・・・。


致死性家族性不眠症

こんな病気があるなんて、知らなかったほうが幸せでした。致死性不眠症は、まれなプリオン病の一種で、睡眠を妨げ、精神機能の悪化と協調運動障害をもたらします。この病気になると、数カ月から数年で死に至ります。「家族性」ということは、これが遺伝によるものだということです。

孤発性もあり、遺伝とは関係なく発生するものです。治療法はありません。

『睡眠こそ最強の解決策である』では、シカゴ南部に住む男性がこの病気を発症し、数週間にわたり眠ることができなくなり、精神が崩壊し、運動機能も失われていきました。
さらに病は進み、半年後にはもはや死を待つばかりとなりました。言葉を発することも不可能になり、ただ頭を動かしたり、うめき声をあげることで意思疎通を図っていました。さらに不眠が数ヶ月続き、彼は死亡しました・・・。


眠れるって素晴らしい

致死性家族性不眠症というのは極端な事例ですが、「眠る」ことで人間は記憶を定着させたり、免疫力を向上させたり、疲労から回復したりします。「生きる」うえで不可欠です。
例えば、インフルエンザワクチンの予防接種を受けたとしても、8時間睡眠のグループと4時間睡眠のグループを比較すると、後者の抗体反応は前者の半分しかなかったことが報告されています。

他にも夜勤がある労働者の場合は、概日リズムと睡眠パターンが一致しないことで乳がん、前立腺がん、子宮体がん、大腸がんなどを発症する確率が大幅に上昇するとか。睡眠が6時間以下の人は、7時間以上の人に比べ、がんにかかる確率が40%上昇するようです・・・。

日常生活においても、睡眠不足が原因で日本ではGDPの2.9%に相当する経済損失を発生させているようです。すなわち、創造性、知性、モチベーション、努力、効率性、グループで働くときの友好性、心の安定、社交性、誠実さなど。

これらが欠如しているために、例えば仕事をミスしてお金と時間が失われたりするわけですね。ばかりか当然ながらやる気、幸福度、倫理観までダウンするようです。

・・・と、ここまで書いてふと気づいたのですが、世の中には様々な理由で命を落とす人がいます。
例えばインフルエンザだったり、肺炎だったり、メンタルを病んでの自殺だったり、交通事故だったり。

でもこれは表面的には「インフルエンザ」「交通事故」として統計上は処理されたとしても、一定数は「そもそも十分に眠れていれば回避できたはずだ」という人がいるはずです。オーバーワークで疲れている時に運転してしまい、ハンドル操作をミスして・・・、なんていうのはその典型でしょう。

じつはチェルノブイリ原子力発電所の事故も、午前1時に発生したのですが、直接的原因はオペレーターの睡眠不足でした。おげげ!! もしこの人がよく眠れていれば、あんなことにはならなかったでしょう。

こういうことは『睡眠こそ最強の解決策である』を読まなければ知らずに生活していました。
本を読んで学ぶって素晴らしい! でも「いにしえの道を聞いても唱へても わが行いにせずばかひなし」。昔からの立派な教えをいくら聞いても、またどれだけ口先で唱えても、自分で実行しなければ何の役にも立たないものです。

ちょっとは長く眠れるように、自分も色々試してみることにします。