以前の記事で登場していただいた大学職員の田島さん(仮名)。
この田島さんという人はもともと民間企業で働いていて、たまたま縁があって都内の私立大学に職員として就職しました。
久しぶりに彼に会った時、いつもにもまして自分の大学に愛想が尽きていました。
話を聞いているうちに、大学職員というのは見かけ上はホワイト企業であっても、人間的にヤバめな人が紛れ込んでいる率が高い職場で、まともな人であればあるほどメンタルを消耗していくんじゃないかと思えてなりませんでした。
田島さんの話を整理すると、だいたいこんな感じになりました。
大学は変な人が多い~教員編
そもそも大学というのは学校である以上、教員の発言力というのは職員よりも強いものです。
省庁でいうなら大臣と事務次官の関係でしょうか。職員はどれだけ出世しても大学運営の根幹に携わることができません。うまくいけば理事とか評議員に選ばれることだってあるかもしれませんが、一人か二人職員がそのなかに入ったって何分の一かの存在にすぎません。
そういう環境では、教員のなかにおかしな人が紛れ込んでも、職員の方から何もすることができず、教員も教員で「個人商店」のようなものですから介入することはまずありません。つまりおかしな人のおかしな挙動はそのまま野放しになります。
たとえば・・・。
1.クレームがやけに多い
就職するにあたり、誓約書を提出するというのはわりとよくあることです。
「貴社の就業規則その他の諸規則に従い、誠実に勤務し、従業員の義務を果たすこと」のようなことが書かれています・・・。
が、田島さんが関わった教員は、この誓約書の提出を執拗に拒みます。
「私がそんな悪いことをする人物だと思っているのか。心外だ!」というのがこの教員の主張でした。採用の段階でそういう言動をする人だというのは、もうこの時点でヤバめな人物だと分かります。
このときは「就業規則でそのように定められているため、裁量の余地はない」ことを説明して引き下がってもらいました。
ところが同じ教員は別のあるとき、授業実施状況を確認するための資料を読んでいて、また文句を付けてきたのでした。『「〇〇」という科目にはゲスト講師を呼んでいる』という注記を担当者が付けていることに腹を立てたのでした。「私がこの授業で手抜きをしているわけではない。ゲスト講師を呼ぶためにどれだけ苦労したと思っているのか」などと、資料作成部局の責任者に電話で執拗にクレームを付けてきたのでした。(「ゲスト講師を読んでいる」という注記を付けたのは他の教員もそうです。クレームを付けたのはこの人一人だけです。)
2.言っていることがトンチンカン
企業によっては扶養手当を支給しているところもあるでしょう。
子どもや両親の家族手当には、年齢制限があるのが一般的です。
子どもの場合は18歳以下や22歳以下、両親の場合は60歳以上が支給対象になる企業が多いですね。
子どもの場合は18歳以下や22歳以下、両親の場合は60歳以上が支給対象になる企業が多いですね。
田島さんの大学にももちろん扶養手当はあります。
が、やはり22歳で扶養手当は打ち切りになります。給与に関する規則にも明記されています。
ところが、某教員は「私は23歳の子どもがいるが、学生である。扶養に入れているのに扶養手当を支給しないのはなぜだ」と主張。
話を聞いていると、所得税の計算における扶養と、健康保険組合における扶養と、扶養手当を支給する要件定義にあたっての「扶養」を勘違いしているようなのでした。
そこでこれらの違いを説明。この教員は引き下がりました。
が、半年後にもう一度同じことを言ってきたのでした。今度は「扶養に入れているのに扶養手当を支給しないのは違法ではないか」。アホかと。担当者は給与支給の規則のコピーを提示して引き下がってもらいました。
しかし。さらに2,3ヶ月後、「年末調整で去年と今年で差額が10万円あるのは計算間違いではないか。扶養の取り扱いを間違えているのではないか」と問い合わせて来ました。年末調整の計算プロセスを一つ一つ提示して、間違いではないことを説明したところ、「では12月給与と1月給与の所得税の計算はどう違うのか、計算式を示せ」と謎の質問を寄せて来たのでした。担当者はあまりの不毛なやり取りにうんざりしたとか。あの~、そういう計算式を示す資料を作るのってどれだけ労力がかかるか分かったうえでの質問なのでしょうか。
3.言っていることがもっとトンチンカン
東日本大震災のあとでBCPというものが喧伝されるようになり、田島さんの大学では安否確認システムを導入することになりました。そのおよそ10年後、新型コロナウイルス感染症対策で大学の授業はオンラインで実施することに。当然ながらインターネットの仕組みをフルに活用します。
ところが、ある教員はこれらへの協力を執拗に拒否。
「インターネットは悪であり、公共の通信インフラを持たない(注:郵便・電話が民営化されたからそういう意見のようです)野蛮な国・日本において私は携帯電話をもつつもりはまったくない。電子メールにより連絡をせよなどという悪質な脅しに乗るつもりはない」。
田島さん曰く、大学教員というのはチームワークというよりも完全に個人プレーなので、周りを見て「あ、こういうことって言っちゃいけないんだ」「これをやったら相手は迷惑なんだ」と気づく機会がないまま年を重ねてしまうのが原因じゃないかと。
大学は変な人が多い~職員編
職員もやはり変な人が多いようです。田島さん、もうウンザリ。
1.気に入らないと怒鳴る
ある職員(仮にF氏とします)は、気に入らないと怒鳴る癖がありました。
しかし謎な理由で怒鳴るので周りから当たらず触らずでスルーされていました。
たとえば業務マニュアルに「Aさんにこれこれをやってもらう」と書かれていたとします。
これを読んだ人は、「Aさんって書いてあるけど、今の担当者はFさんだから」と、Fさんに「すいません、この引継書にはAさんにやってもらうって書いてあるんですけど、Fさんですよね」と質問します。
すると、
「何ぃ! なんでAの名前なんか出すんだ!! この業務の担当者は俺だ! なんでAなんだ!」と顔を真っ赤にして怒鳴ります。
社会人として、人前で怒鳴るというのは普通ありえないことですが、気にせず怒鳴ります。
この人のよく怒鳴ること怒鳴ること。休職中の通勤手当を返納しろという話(就業規則にも休職中は通勤手当は支給しないと書いてある)には、「お前のような人間からの要求には断固として拒否します」「あなたかのメールで私のメンタルは崩れました。弁護士に相談のうえ、あなたを訴える可能性があります」という、読んでいるこっちのメンタルが持っていかれそうな長文メールを担当者だけではなく関連部署に一斉に送りつけたり、「自分の傷病手当金がいつ振り込まれるのか言ってみろ!」などと怒鳴りつけたり。
偉そうな態度の割にはじつはこの人窓際で、やけに遅刻が多くて、定年2年前にうつ病で傷病欠勤を取得しました(勤続年数から言って、傷病欠勤は最大2年取得可能でした。ずいぶんタイミングがいいですね)。
2.過呼吸になったり笑いこけたり挙動不審
別の職員は、言われたことしかできず、やろうともせず、やってみたらやってみたで不可解なミスを連発します。
上司から「どうしてこういうミスをしてしまったのか振り返って云々」と言われると、突如としてケタケタと笑いこけたり、過呼吸になったり、泣き叫んでどこかへ走り去ってしまったり。
田島さんは1と2の職員について、どうやら発達障害ではないかと疑っているようです。
でも田島さんの大学って、教員も職員も合算して200人もいないんです。それなのに、「前の会社は数千人規模の所だったけど、こんな人いなかったよ! なんでこの大学はこんな奴らばかりなんだよ!」と変な奴との関わりに疲弊した田島さんはなぜか私に訴えます。
聞けばこの他にも気に入らない部署への人事異動を「うつ病になった」と明らかに嘘をついて1年以上にわたり休職し、退職後は海外へ移住してしまう者もいたとか。
私は、田島さんの話を聞いて「腐ったりんご」という比喩を思い出しました。
ハーバード・ビジネス・スクールによると、悪影響をもたらす人=腐ったりんごがいると、次のようなことが起こるそうです。
・職場でそうした対応を受けた従業員は「仕事生活との絆が顕著に緩む」
・半数近くが「仕事の取り組みを減らし」、働く時間を意図的に少なくした
・38%が、仕事の質を「意図的に下げた」
・職場でそうした対応を受けた従業員のうち25%が、イライラを顧客にぶつけたことを認めた
・12%が、こうした扱いが理由で仕事を辞めた
・従業員の80%は、人の気分を害するような従業員の無礼が気になって仕事にならなかったことがあると述べた。
・78%が、毒のある振る舞いを目にして、組織へコミットが弱まったと語った。
・66%が、パフォーマンスが下がったと語った。
・63%が、人の気分を害するような従業員を避けようとすることで、働く時間が減った。(https://newspicks.com/news/2975854/body/より)
もろ田島さんの大学じゃないか・・・。(と思いましたが、口には出しませんでした。)
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