2020年春から2021年秋(現在)まで、世界各国が対策に躍起になった新型コロナウイルス感染症。
私たちも多かれ少なかれ人生を狂わされました。
とくに観光業、飲食業は大したエビデンスがないまま専門家・都道府県知事により悪者にされ、休業を強いられ、収益が激減。インバウンド需要も蒸発してしまい多くの雇用が失われてしまいました。

しかしその一方で多くのサラリーマンにとってはメリットもありました。
時差通勤やリモートワークが浸透したために毎日うんざりしていた満員電車が過去のものとなりました。Zoomを使った会議も当たり前のようになり、無意味な移動が減ったので生産性向上に結びついたという恩恵を実感した人もいることでしょう。

私は、「密を避けるため」という理由で美術館が事前予約制、当日券があったとしてもその時間枠の上限人数までしか販売しないという方式になったことにとても恩恵を受けています。

コロナの平和利用で美術館が平穏快適になって嬉しい

私は美術館や展示会に足を運ぶことがたびたびあります。
その感想はいつもこのブログで記事化しています。

感想:ポーラ美術館コレクション展「甘美なるフランス」。素晴らしい展覧会! 行くなら平日の昼を狙え!

とか、


がそうですね。
いずれも、人が多すぎず少なすぎず、いやちょっと少ないかな? という程度の混雑ぶり。
人気のない美術館というのは薄気味悪い光景ですが、混んでいても疲れるだけなのでちょうどいいのです。
コロナがなければ、きっと美術館もインターネットを利用した事前予約制という手段は採用していなかったはずです。これぞコロナの平和利用。私は混雑が緩和された美術館にすっかり満足してしまいました。

美術館では、作品が見えるのが当たり前!

コロナ以前はとんでもない有様でした。人混みがすごくて、作品が見えない!
過去記事
は2018年に作成したもの。
この年、東京にはルーベンス、ムンク、フェルメールといった巨匠たちの作品が集結していました。
ところがこれが曲者で、
私もあまり背が高くないのですが、国立西洋美術館で開催されているルーベンス展では作品に近づくだけでも苦労しました。

「ルーベンスでさえこうなのだ。ならばフェルメールはなおさらだ」
そう思い、フェルメール展は断念しました。(昔オランダで見たことがあるので・・・。その時はアムステルダムもハーグも東京とは大違いでガラガラでした・・・。)

実際問題人混みの中にいるということはパーソナルスペースが侵食されているのと同じでもあります。こんな中にいると疲れるのは当然です。
という記録が残っています。
正直ルーベンスなんて、ベルギーに行けば山程作品が展示されていて「またこれか」とすら思ってしまうほど多作家です。それが東京に来たというだけでとんでもない混雑になるなんて・・・。

もっとひどいときには、ものすごい人混みのなか、自分ではどうすることもできない「流れ」に回転寿司のように乗せられて、話題のダヴィンチなりラファエロなりはチラッと見えるだけ、あとは他人の後頭ばかりしか見えなかった、結局自分はここに何しに来たのかよくわからない来館体験だったということもありました。

美術館は芸術作品を鑑賞するのが目的ですから、見たい作品をじっくり見られるというのは必要最低限確保されなければならない環境のはずですが、あの混雑を誰もが当たり前のように受け止め、疑問を抱くことはありませんでした。

事前予約制は続けてほしい

美術館としてはコロナ前方式のチケット販売のほうが人がぎっしり入っているほうが収益はプラスになりますが、私としては今の事前予約制はたとえコロナが人の話題にすらなくなっても継続してほしいと思っています。

かりにチケットの価格が1.5倍になってしまったとしても、一期一会の名品をじっくりと見られる感動が味わえるのならば、せいぜい数百円くらいの負担などあってないようなもの。
思えば、人だらけでろくに作品を鑑賞できない東京の展覧会というのは、見かけ上は文化的であってもその実質は貧しかったといっても過言ではないでしょう。
コロナをひとつの奇貨としてより上質な鑑賞体験が確保されるよう、事前予約制というシステムのさらなる精緻化をはかるなど、美術館関係者にはぜひ知恵をしぼっていただきたいと思います。そのことが結局は国民の文化レベル向上にむけての何よりの貢献であろうと思う次第です。