渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されているポーラ美術館コレクション展「甘美なるフランス」は、「こんな名品の数々を一気に鑑賞できてほんとにいいのか?」と思ってしまう充実ぶり。

ポーラ美術館というのは箱根に立地しているため、ちょっとやそっとではたどり着くことが難しいので、都心でこういう展覧会を開催してくれてありがたいです。しかも、展示作品はすべてポーラ美術館の収蔵品だとか。こんなハイレベルな作品を収蔵しているなんて、もう想像以上でした。

展覧会は4章構成(写真撮影禁止)。

1.都市と自然――モネ、ルノワールと印象派
ここでは、コロー、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレーといった印象派の巨匠たちの作品がずらずらと展示されています。最初からずいぶん力が入っていますがこれでまだ第1章。まだまだ始まったばかり。

2.日常の輝き――セザンヌ、ゴッホとポスト印象派
セザンヌ、ゴーガン、ゴッホ(!)、これだけでもう愕然となるでしょう。さらにはプティジャンやボナールといったキラリと光る名匠の作品まで。

3.新しさを求めて――マティス、ピカソと20世紀の画家たち
マティス、デュフィ、ブラック、そしてピカソまで!! 信じられない!!

4.芸術の都――ユトリロ、シャガールとエコール・ド・パリ
相変わらず打ちのめされます。ユトリロ、モディリアーニ、ローランサン、そしてシャガール。

Bunkamuraザ・ミュージアムという限られたスペースにフランスの画家たちを中心として名品の数々がずらずらと並んでいる様は圧巻としかいいようがないでしょう。

しかも、運がいいのか悪いのか、この展覧会は本来なら「押すな押すな」状態になっていてもおかしくなかったでしょう。しかし今は感染症対策のため土日は日時指定、私が訪れた平日昼はかなりスカスカの状態でした。つまり絵画鑑賞には理想の環境といえます。

私のように背が低い(男、155cm)場合は、「押すな押すな」の展覧会では回転寿司のように人の流れに運ばれて、絵を見ているのか他人の後頭を見ているのか分からないまま出口に押し流される、ということがよくありました。それだけに、混雑という言葉からは程遠い展覧会のありがたみというのがよく分かります。

これを喜んでいいのかどうか複雑な思いではあるものの、まさか東京の展覧会でセザンヌとかピカソとかをずっと立って見ていられるなんて、こんなこと2度とないでしょう。

会期は2021年11月23日まで。チケットは一般1,700円。「1,700円」と聞くとちょっと高いと感じられるかもしれませんが、これだけ充実したコレクションを怒涛のように見せられたら、文句を言う人はだれもいないでしょう。
このチャンスを逃すと、箱根のポーラ美術館まで足を運ばなければコレクションを堪能できません。
もはや「行かない」という選択肢はありません!!