ヴァイオリンの練習をしていると、消耗品である弓の毛と弦は必ず張り替えなければなりません。

弓なら季節ごと~半年に1回は替えたいですね。

弦もプロなら1~2週間から1ヶ月程度、アマチュアでもやはり季節ごとくらいの感覚で交換すべきでしょう。

しかし私は「まあ、まだ使えるからいいか」とほったらかしにしてしまうのでした。お前ほんとにヴァイオリン好きなのか?

ところがそのことで「しまった」と後悔するのでした・・・。

弓の毛と弦はこまめに替えたほうがいい。音が全然違う。

私は弓の毛を9ヶ月くらい替えないまま放置していました。バカですね。

本番が近づいてきたある日のこと、「そろそろ替えておくか」。

で、某ヴァイオリン取扱店に持ち込んで職人さんに弓の毛を替えてもらいました。
弓の毛といってもシベリアとかモンゴルとかいろんな毛の種類があります。私はべつにプロでもなんでもないので一番安いやつでいいやとモンゴル(5,500円)を指定。

が・・・。

家に帰って弾いてみると、まるで音が違う!

ヴァイオリンを日常的に演奏していない人ならたぶん気づかないでしょうけれども、弾く人は毎日音程やハーモニーを意識して自分の音を注意深く観察しているものです。そうなるとたとえ大人であっても聴覚が研ぎ澄まされてきて、わずかな違いでもピンと来るようになります。

弓の毛を替えたあとで弾いてみたヴァイオリンの音は、昨日までとまるで中身の充実ぶりが違います。
たとえ音程は同じ「ラ」でも、耳に入ってくる音の密度や厚みが明らかに異なっているのです。
いわば、発泡酒とビールくらいの違いといえば分かるでしょうか。

・・・と同時に、「この弦、古びてるな」ということも弓の毛を替えると一発で気づいてしまいました。

というわけで今度は弦を交換。
普通ならドミナントとかゴールドブロカットとかが使われがちですが、ちょっとひねくれている私はダダリオという、ヴァイオリンというよりもギターの弦で有名な会社の弦セットに替えました。
まあドミナントだろうがダダリオだろうが上手い人は上手いし下手な人は下手ですから、そこは別にいいでしょう。

で、弦を交換したらしたで、弓の引っかかったときの手元の充実感がやっぱり違いました。

手元の充実感というと、弓がきちんと弦に引っかかっている手応えがあるということ。

ヴァイオリンは擦弦楽器ですから弦に弓の毛をこすりつけることで音が鳴ります。
その擦り付き具合が不十分だとスカスカな音になってしまいます。弦を交換するときの私の音色がまさにそれ。つまりそれだけ弦が劣化していたんですね。

交換してみた弦はもうツヤツヤ、プルプルの音色を出してくれます。うちのヴァイオリンくん、これまで汚い音ばかりで、なんかごめん・・・。

音が古いというのは、普通にヴァイオリンを弾いているだけの自分ですら気づくわけですから、子供のころからヴァイオリンをやっていて、絶対音感があるという人にとってはメンテナンス不十分な楽器から出てくる音はきっと耐えがたいことでしょう。

別の言い方をすると、そういう聴覚を持っている人がゴロゴロいるのがクラシックの世界。彼らの鑑賞に耐えうる演奏をするのは並大抵のことではありません。

しかし気になるのは、私のヴァイオリンの先生ももしかしたら弓の毛や弦が古いということに気づいていたんじゃないか? ということです。でも「この生徒はどうだっていいや」と思って何も言わなかったのか、「きっとお金があまりないから、弦を替えろとかあまり言わないほうがいいかも」と忖度されていたのか、あるいは何一つ気づかれていなかったのか・・・。ちょっと怖くて問いただすことができません。

いずれにしても弓の毛と弦はこまめに交換すべきだと改めて気付かされました。恐ろしや。