「魔法少女まどか☆マギカ」TVアニメ放送の10周年を記念して開催される複合型展示会が2021年9月現在、銀座松屋にて巡回をスタートしています。
これは魔法少女達が歩んできたストーリーを制作資料やイラスト、映像などさまざまな素材、さらには空間展示を用いつつ作品の名場面を再現し、制作スタッフの証言も交えつつ物語世界を追体験できる優れた展示になっています。
私も本日たまたま仕事が休みになったので銀座に足を運びました。
昔の自分なら銀座でぶらぶら・・・、なんてことをしていたのですが(暇人)、社会人にもなるとそうも言っていられず、目的地から目的地へと、点と点を結ぶような移動になってせわしなく、本日も新宿から丸ノ内線で銀座駅で下車、脇目も振らず松屋直通の地下通路をシャカシャカと歩きます。(というか、それだけその展示会を見たかったのですね。)
さまざまな視点から構成された良質の展示会。さて、何回ループする?
まず注意しておきたいのは、この展示会は基本的に撮影はOKです。したがって気になる展示などは記録としてどんどん画像を保存しておいたほうがよいでしょう。次にいつこういう資料が公開されるか、わかったもんじゃありませんから。ただし映像の撮影など、一部は撮影が認められていません。(撮影禁止のエリアはそのように掲示が出ています。どこでカメラが使えるかは簡単に分かりますのでご安心ください。)
会場の基本的な構成は、TV放送の1話~最終話まで、各エピソードを回想しつつ、どうしてこのキャラクターはこういう人物造形にしたのかを制作スタッフの視点も挟み込みながら登場人物の基本設定を振り返るというもの。作品の発表から10年経過しているので、記憶があいまいになっていたり、当たり前だと思っていた諸々の細かいエピソードにもじつは意味があるということに改めて気付かされます。
しかし特に注目すべきは、さまざまな衣装やソウルジェムの実物(というか、3次元に再現してみたという展示)をこの目で確認できること、さらには魔女たちのイラストを間近に近寄って鑑賞することができるということです。もちろん撮影可能です。委員長の魔女といい人魚の魔女オクタヴィアといい、さらにはワルプルギスの夜といい、アニメで見た魔女たちがずらずらと一部は解説つきで陳列されているわけですから、これは必見としか言いようがありません。
その他にも戦闘シーンの細かい動きをコマ別にパラパラ漫画ふうに微に入り細に入りといった具合で解説しているエリアがあり、TVで見ていると1秒の出来事であっても一つ一つクリエイターの職人芸によって成り立っているということが嫌でも分かります。
さらには、誰もが「!」という衝撃を受けたであろう10話めの展示は必見でしょうし、私はこのエリアに大変な衝撃を受けました。膨大な枚数の原画が展示され、時間を遡行して何度も鹿目まどかを守ろうとする暁美ほむらの願いが一つ一つの表情から伝わってくるようではありませんか。
原画といっても一枚一枚のクオリティは高く、ある程度彩色も施されているので、このまま漫画の一コマとして使っても違和感はないでしょう。ということは、そういうクオリティを保ちながら締切に確実に間に合うように作品を仕上げなければプロとしてやっていけないということですね。
このように書けばきりがないのですが、たしかに一世を風靡するエネルギーを秘めた作品には、それなりの労力が注ぎ込まれ、その前提として制作陣の情熱が確実に存在するということは私のような素人にも絶対に分かる展示になっています。
会場出口には物販コーナーもあり、記念誌やクリアファイルといったこの場所でしかおそらく手に入らないであろうグッズが売られており、ファン垂涎のアイテムとなることは間違いないでしょう。
惜しむらくは、人間の記憶というのはわりとすぐに薄れてしまったり、別の記憶と混じってしまったりして、こういう展示会の思い出も1週間もすると「結局、あの部分ってどうだったっけ?」となってしまうことです。
「魔法少女まどか☆マギカ」の作品世界に浸ってみたいという方は、まるで暁美ほむらが何度も時間をやり直したように、会期中に複数回足を運び、気になる箇所は徹底的に見尽くしておいたほうがよいでしょう。「魔法少女まどか☆マギカ」ファンだけでなく、将来このような作品を世に送り出したいというクリエイター心あふれる方も、行けば行くほど学ぶものは多いはずです。社会人である私自身も、「表現者として何かを世に問うとはどういうことか」について大いに感じるところがありました。いやあ、よい展示会だった!!
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