Cuvie先生のバレエ漫画『絢爛たるグランドセーヌ』の第11巻。
ここでは、マルセイユ国立舞踊学校の短期留学からYAGPのNY本選へ挑むまでが物語られ、ストーリーも盛り上がりを見せてきました。
おそらくこのあとの展開を通じて、前の巻までに登場した人たちがそれぞれの道を見つけてフランスなりイギリスなりへ散らばり、自分の将来を開拓してゆく様子が描かれてゆくのだと思います。
それはさておき、一足先にドイツへ留学している栗栖さくら。
ではミュンヘン・バレエ・アカデミーでクラスの仲間たちと溶け込めずに溝を実感していました。
しかし11巻ではついに食堂で「ここ座ってもいい?」と自ら仲間たちに歩み寄り、心を開いていきます。
きっかけは「友達と仲良くね!」という奏の一言でした。
ムカつく カナにできて私にできないとかありえない
そして彼女は仲間たちに自分の考えていることを伝達し、本番でも成功を噛みしめることができています。結局のところ、さくらは自分が作り出した世界観ゆえに他人と意思疎通が難しくさせており、早い話が「身から出た錆」に過ぎなかったわけです。
たしかに自分が心を閉ざしていれば、相手と通じ会える可能性は永遠のゼロのままです。
もし自分から話しかけるという努力をしてみれば、その可能性は少なくともゼロではありません。
100ではないかもしれませんがゼロよりは遥かに大きいはずです。
最近ドラマ化もされて話題になった漫画『ドラゴン桜2』では、そのことが分かりやすくまとめられていました。
東京大学現役合格を目指す生徒(天野)を指導する桜木は次のように檄を飛ばします。
目の前のことは全て「やる」これが今後のお前の行動指針だ「やらない」方向に成功はないそこはゼロの人生だ「やる」方向には失敗もあるが成功の可能性は常にある人生ゼロか数パーセントか答えは明白確率があるほうを選ばないのはバカとしか言いようがない本当のバカはやらないやつのことだ天野・・・お前は「やる」に進んで失敗を何回か経験しただけだやったお前はバカじゃない失敗した回数はむしろ誇るべきだ
この言葉は真理だと思います。
だからこそ、入試でも記述式問題は分からなくても空欄のままにするのは愚策とされ、部分点がもらえることを狙ってなんでもいいからとにかく書いてみることが推奨されています。
婚活においても、経済評論家・勝間和代さんは必勝法を「ジャンケン、ジャンケン、またジャンケン」と説いていました。相性やめぐり逢いは回数や確率が左右しているので、とにかく人に会い続ければ「いつか勝てます」。
さくらも、自分からドイツ語をしゃべってみて「まったく通じなかった!」という可能性だってあったはずです。物語ではうまく伝わらないよ、という仕草をされているコマもありましたが、実際には言いたいことが伝わったときよりも、そういうときのほうが多かったことでしょう。
それでもめげずに伝えるという努力を放棄しなかったからこその本番成功がありました。
『絢爛たるグランドセーヌ』第11巻のお話の本筋とはやや外れてしまいますが、私の頭の中ではさくらのとった行動と、「目の前のことは全て「やる」 これが今後のお前の行動指針だ」という言葉が結びついて、不思議な感銘を受けました。
引き続き第12巻も注目していきたいと思います。
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