自分はどういう演奏をしているのか客観的に把握するために録音を残すのはごく普通のことです。
ヴァイオリンはオーケストラのなかではとくにメロディを担当することが多いだけに、自己陶酔の世界に入り込んでしまいがちで、そうなるとリズム感とかテンポのキープとかがかなりいい加減になります。
そうすると自分は気持ちよくても他の人からしてみれば「なんじゃこりゃ?」な演奏に陥ってしまうものです。
そうならないためにICレコーダーで自分の演奏を録音して、それを聴いてみると・・・?
ひどいのなんのって!!
冗談ぬきに、吐き気がしてきます。
まず音程が微妙。普段私達が聴いているハイフェッツとかオイストラフとかの録音は、世界を代表するような一流ヴァイオリニストのもの(当たり前ですよね)。
で、ヴァイオリンを演奏しない人もやっぱりそういう演奏を「ごく当たり前のもの」として受け入れているので(そもそもアマチュアのヴァイオリニストの演奏を耳にする機会などほとんどないので)、なおさら世間的には彼らの録音が「普通」として定着しています。
そういう「普通」(じつは世界水準なのだが)から比較すると、自分の音程が微妙なこと微妙なこと!! 何年やってもこれか、と思うと絶望しかありません。
さらに運弓が微妙。力の入れ方や速度にムラがあるらしくて、一つのメロディのなかでも不必要な強弱の揺れが発生していることがまるわかり。自分はこんな音を出していたなんて・・・。
そして何より。音が汚い。なぜこんなに汚いのか。楽器と弓が安いせいなのか? でもプロのヴァイオリニストは安い楽器でもそれなりにきれいな音を出せています。ということは完全に自分のせい。
チューナーで一つ一つの音を測定してみると、音程が狂っているわけではないのです。しかし「ヴァイオリンの音」になっていないのです! 高級感が完全に欠落していて、全体的に安物のプラスチックのような音がしています! この音は公害だ!!
私の先生曰く、「ICレコーダーだと残響とか倍音を捉えることができないので」と説明してくれていますが、そもそもそういう次元の話ではなくとにかく一つ一つの音が粗大ごみレベルの汚さに感じられるのです・・・。
こうやって何百回何千回と絶望して・・・、そうやって少しずつヴァイオリンの演奏技術が上達してゆくのでしょう・・・。大抵の人は途中で挫折してしまうし、そうでなくても人に感動を与えられる技術水準に到達する可能性なんてほぼゼロなんですけどね・・・。
もうこれって完全にカミュの「シーシュポスの神話」の世界ですな・・・。
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