NHKオンデマンドで視聴できる『BS世界のドキュメンタリー 「グレース・ケリー 知られざる素顔」』は、プライベートフィルムを交えて貴重な証言に彩られています。

女優を目指してフィラデルフィアからニューヨークへ。父に認められたい一心で何度もオーディションを受け、やがて映画に進出し、ヒッチコック監督の主演女優となり一躍スターへ。
さらには肉感的なマリリン・モンローと対照的な静謐さに満ちた気品というキャラクター像を確立し、その名声が絶頂に登りつめたときモナコ大公レーニエ3世との結婚。

その後はモナコ公国の「広告塔」としても活躍していましたが、1982年9月13日、自ら車を運転中に脳梗塞を発症し、崖から転落し意識が戻らないまま死亡。車のなかで彼女は隣にいた次女ステファニー公女に英語で「ごめんなさい」とつぶやいたとか。

グレース・ケリーの華やかな生涯を偲ぶ人は今なお多く、だからこそこういうドキュメンタリーが発表されているのしょう。

私が気になったのは、痩せたらガンだとマスコミにあることないことを書かれ、パパラッチに追いかけ回されていたということです。

これって、今も「女優〇〇、離婚秒読みか?」などといい加減な記事が週刊誌に掲載されたり、アイドルがデートをしている現場の下品なスクープが文春砲と呼ばれたり、その文春砲とやらのためにアルバイトを雇ってグループアイドルのメンバーすべての行動を四六時中チェックさせたりするのと同じですよね。

ということはそういうネタを欲しがる人たちがグレース・ケリーの若い頃にもいたし、ダイアナの時代にもいたし、2021年現在もいるということであり、つまり大衆の下世話な関心というのは不変だということになります。

50年前も今もそうなら、50年後もきっとそう。私の一生よりも長い時間、その時代の有名人はデマに振り回され、不愉快な思いをし続けることになるのでしょう。

私がいたく応援する渡辺麻友さん(引退しちゃいました、グスン)もきっとその一人だったはず。


結局のところ、自分の想像はここに行き着いてしまうのでした。