私はワインをよく飲みます。かなりハマっています。
フランス、イタリア、スペイン、日本、ドイツ、オーストリア、ポルトガル・・・。
チリにアルゼンチン、アメリカにニュージーランド、オーストラリア。南アフリカも。

同じぶどう品種たとえばカベルネでも山梨のカベルネとボルドーのカベルネは全然性格が違いますね。
山梨のカベルネは和食に合うような、どことなく慎ましやかな雰囲気。
ボルドーのカベルネはこれぞ保守本流、誰もが想像する赤ワイン。これぞ王者!

色々飲んだ結果、私の味覚的にどうしても書きとめておきたいことがあります。




チリのピノ・ノワール、まずい・・・!!



なぜチリのピノ・ノワールはまずいのか?




そもそもピノ・ノワールといえばブルゴーニュ。同じピノ・ノワールでも南仏のピノ・ノワールとまるで別の味わいがしています。

カリフォルニアのピノ・ノワールも確かにおいしくはあるものの、どことなくブルゴーニュとは違います。いえ「どことなく」どころの話ではない位に。

ブルゴーニュのピノ・ノワールはえもいわれぬ気品が漂い、口に含んだ時の香りといい余韻といい、まるでオペラハウスのロビーでドレスに身を包んだ貴婦人とすれ違って、「えっあの人は〇〇王妃?」と思って振り返ったらもういない、そんな一場の夢のような儚さすら感じさせるものがあります。
だからこそ、ブルゴーニュのピノ・ノワールは毎日じゃんじゃん飲むようなものではなくて、有名な造り手の「作品」をある種の覚悟をもって対峙するようなところがあります。

・・・というのをお読みいただくと、チリワインを体験したことがある方なら「そりゃチリに向いてないわ」と思うのではないでしょうか。

チリワインといえば安旨ワインで知られ、たしかに数百円でもまあまあ本格的というか、「今日は飲んだなあ」というとりあえずの満足感を安定的に与えてくれるのが魅力です。わかりやすい美味しさなだけに、たとえば大学生が集まって宅飲みするときに1,2本あれば楽しいひと時を過ごせるでしょう。

反面、チリという土地の土壌のせいなのか何なのか・・・、どのワインをとってもどれもこれも「ドスコイ」な味わいで、重厚といえばポジティブに聞こえますがその「重厚さ」によって色々なニュアンスが消し飛んでいるようなマイナス面があるようです。

とくに個別にワインの商品名を挙げることはしませんが、スーパーやコンビニで売っている数百円~1,000円前後のチリワインはだいたいこのタイプで(だから店に並べてるんですね、だって複雑な個性のワインなんてスーパーやコンビニに似つかわしくありませんもの)、どれもこれも「ドスコイ」「ドスコイ」の一点張り。もうちょっと頭脳プレイのできる選手はいないの? とすら思えてくるのでした。

で、案の定というかなんというか、チリのピノ・ノワールを「まあ一応チェックしとくか」と思って飲んでみたのですが・・・。カーテンのむこうにグレース・ケリーがいるよと聞かされて、胸を躍らせながらサッと開けてみたら横綱が飛び出してきたような・・・、ガクッ・・・。

要するにチリのピノ・ノワールはこういうものなんだなあと、自分を納得させるしかありませんでした・・・。