甘美でエキゾチックなヴァイオリン音楽はどれ? と質問されたら、あまり知られてはいませんがグラズノフのバレエ音楽『ライモンダ』より「グランド・アダージョ」をとっさに思い浮かべてしまいます。




聴いてみていただくとおわかりのように、いかにもロシアらしい雰囲気にあふれていて、それでいてどことなく東洋的な雰囲気も漂います。

IMSLPでも楽譜が収蔵されていました。

これなら頑張ればアマチュアでもまあ手が届くかな・・・、といったところでしょうか。
パガニーニみたいな速弾きがない代わりに、「らしい」味わいを表現するために、音程やヴィブラート、右手の安定感などいろいろ乗り越えるべきハードルがありますが・・・。

同じくグラズノフのバレエ音楽『四季』のプチ・アダージョも似たような雰囲気でぜひチェックしておきたい佳品になっています。

ヴァイオリン名曲集みたいなCDを一通り聴いてみて、さあどうしようかなと思ったとき、その時はもう初心者とは言えないでしょう。自分から積極的に「自分だけのこの一曲」を探すべきタイミングに差し掛かっています。グラズノフはいまひとつ有名ではないだけに、そういう人にとって巡り合うべき作曲家と言えるのかもしれません。

ただ、あまり有名じゃない曲って、コンサートのプログラムにあまり乗りません。
ということはもし実際に聴けるとなった場合は本当に要チェック! たぶんそれが、文字通り最初で最後になる可能性がものすごく高いからです。

ヴォーン・ウィリアムズの「あげひばり」とか、クライスラーの「祈る女」とか、ブルッフの「コル・ニドライ」ですらわりと有名(「あげひばり」はフィギュアスケートで使われたことも)なのに、「全部コンサートで聴いたことがあるよ」という人は全日本人の0.1%もいないはずです。ましてやグラズノフなど・・・。

その1回限りのチャンスが「忘れられない1回」になる可能性に賭けて、気になる曲がプログラムに乗ったらぜひ演奏会に足を運びたいですね。