これは完全に個人的経験ですが、ヴァイオリンの有名練習曲「クロイツェル」を続けていると、なぜか音感が良くなるという不思議現象を絶賛体験中です。

私が取り組んでいるのはクロイツェルのなかでも、こちらです。



なんだかバッハの『無伴奏チェロ組曲』みたいな雰囲気ですね。

クロイツェル第13番を練習するうえで大事なこと
という記事では、
ギターを弾いたことがある方ならなんとなくおわかりかと思いますが、クロイツェル13番というのはコードをばらして横に並べたものです。
ということは和音=コードがきちんと鳴っていないと「あるべき姿」としての音ではないということになりますね。

だからこそ、2~3個の和音を鳴らすときにそれぞれの音が正確かどうか、まずは音程を確かめながら弾くことが大事だとか。
「あ、ちょっと違うかも」、そういう違和感を感じるようになったとしたら、それは自分の音程感覚が育っている証です。
と私はいかにもレッスンで先生から言われたようなことを書いています。

地道に毎日弾いていると不思議なもので、「あ、半音の半音のそのまた半分くらい? なんだかずれてるな・・・」ということが分かるようになってきます。
で、「いまのは和音がぴったり当てはまってすごく綺麗な音だな~」ということも気付けるようになってきます。

こうなればしめたものです。
ヴァイオリン演奏の「基本のき」である「音程」が正しくなってきている証拠ですから。

正しい音程というものがわかれば、「そもそもソナタのこの部分で使っている音程は、後の部分と同じ音程のとり方で良いんだろうか。いや違うよね」「ベートーヴェンって同じような短いフレーズとすら言えない音の塊が何回も繰り返されるけど、同じ音程でいいのかな?」のように「チューナーで測った正しさ」とは違うもう一つの(より奥深い)「正しさ」というものがあることが、体で理解できるようになるでしょう。

さらに言うと、美しいモーツァルトの演奏とはなにか? という疑問に対して自分なりの「答え」が用意できるようになります。

さらにさらに、なぜギュンター・ヴァントのモーツァルトやブルックナーのCDが名盤だとされているのか、すごく腑に落ちてくるようになります。すべての音符が磨き上げられてことごとくが美しい。無駄なものが一切ない硬質かつ機能的な仕上がり。一流シャトーの辛口白ワインをキリッと冷やして口に含んだときのような感覚を音楽に移し替えたような・・・。

そしてこの音感というのも、自分が努力して獲得しただけに大変なありがたみがあります。
絶対音感を持っている人はヴァントなりクルレンツィスなりの演奏を聴いて、私が発見したことよりもずっと多くのことを一瞬で感じ取っているでしょうね。ああ羨ましい・・・。