2021年2月10日発行「NEWあしながファミリー」第168号には、昨年12月にあしなが育英会のすべての奨学生のために「年越し緊急支援金」を給付したことを知った上皇・上皇后両陛下からお手紙とご支援を頂いたことが書かれていました。

天皇在位時代から全国各地の被災地に足を運ばれ、第二次世界大戦の戦没者へも心を寄せ続けた上皇・上皇后様らしいお話ではありませんか。

前回の「NEWあしながファミリー」を読んで私もすぐに3万円を寄付しました。

さてあしなが育英会会長である玉井義臣さんは若い頃にサミュエル・スマイルズの『自助論』を読んで触発されたことも紙面で述べられていました。

自分が理想、目標、志を立て、それに向って不断の努力をすることです。人生の基盤をつくるとき、そこはサボれません。スマイルズは「自分が自分に対する最良の支援者であれ」と説いています。
まさに「天は自ら助くる者を助く」。明治時代の若者たちを励まし鞭打った不滅の名著も今なお文庫本で数百円で読むことができ、100以上前の人々の心を動かした「言葉」には普遍性があると教えられます。

スマイルズの名著『自助論』。自分の人生は自分で切り拓く

この本は多くの偉人たちのエピソードを織り交ぜながら、いかに努力と創意工夫が人生を開くかを色々な角度から説いています。

科学的発見をなしとげるために「いつもその問題を考え続けていた」ニュートン。

ディズレーリは「成功の秘訣は、自らの直面している問題をマスターすることにある。そのためには勉学に熱中しなくてはならない」と説きました。

蒸気機関の第一人者スチーブンソンは「私はねばり強く努力した。諸君も同じように努力したまえ」と若者たちへエールを送っています。

画家レイノルズは「ねばり強く努力を続ければ、誰でも人に抜きん出ることができる」と信じていました。

ベートーヴェンが好んだ格言は「向上心に燃えた有能で勤勉な人間には、”ここで行き止まり”という柵は立てられない」。

こうした偉人たちの姿からは「常に最善を尽くし、一歩でも二歩でも前進せよ」という強いメッセージが感じられるではありませんか!
「志」を胸にした人間の前には不可能はなく、自分の人生を自分の力で開拓してゆくことができる、そう信じる力を与えてくれるのが『自助論』です。

さて、あしなが育英会では、奨学生自らが街頭に立ち、募金を募ることを大切な活動のひとつとして位置づけています。
玉井義臣さんが奨学生たちに伝えたいのはお金の重みと、「いつかは自分が支える側に」という意欲とともに学業に励んでほしいというメッセージでした。

『自助論』にも同じようなことが書かれていました。
どんなに立派で賢い人間でも、確かに他人から大きな恩恵を受けている。だが、本来の姿からいえば、われわれは自らが自らに対して最良の援助者にならなければいけないのである。
名著のエッセンスは玉井義臣さんを通じて、きっと学生たちにも手渡されてゆくことでしょう。
私自身も引き続きあしなが育英会に寄付を続け、ささやかながら次世代へ思いを託します!