従業員の給与を計算していると、年末調整のあとで源泉徴収票を発行するという業務が発生します。

これがなかなか厄介で、12月下旬になって離婚したり子供が生まれたりと年末調整を実施したあとで家族関係に異動が発生したりすると、それを踏まえてもう一度年末調整を行わなければなりません。

その前に源泉徴収票を発行していると、当然やり直し・・・。

でもこれは「あるある」なのでまだ笑って済ませることができます。

私が遭遇したレアケースは、12月になって、「その年の扶養控除等申告書を提出していたのは、実は間違いだった。自分は毎年、他の仕事との兼ね合いで確定申告しているので年末調整は必要ない」という申し出が従業員からあったことです。

年末調整をしなくていいのは助かりますが、じゃあ源泉徴収票はいったいどうやって作成すればいいのでしょう? この人の場合は1~11月までは甲欄の扱いで所得税を徴収していましたが、12月給与だけは乙欄の扱いとなります。

まさか、1~11月で1枚(甲欄にかかるもの)、12月でまた1枚(乙欄にかかるもの)のように一人で2枚作成するのでしょうか? となると1月下旬にその人が住んでいる自治体の役所へ送付する支払報告書も2枚送付しなければいけないのでしょうか?

答えは・・・。

bunkasai


年の途中で甲から乙へ所得税の取り扱いが変わったら、源泉徴収票はどう発行するのか

国税局に質問してみたところ、こんな回答を得ました。

「源泉徴収票の発行は1枚でよい。源泉徴収票に記載する”源泉徴収税額”は、もし1月から12月まで乙欄だったら徴収できていたはずの所得税額を記載してほしい」。

私はこの答えを聞いてまた質問しました。
「え、でも1~11月には甲欄の所得税で徴収したわけですから、実際に徴収できた金額と比べるとかなり差額が発生しますよね。どうしたらいいんですか?」

すると国税局の方は、
「発生してしまった差額は1月や2月の給与で徴収するようにしてほしい」。

面倒なことになりました。源泉徴収票と支払報告書をこのようなやり方で発行するためには
・まず本人に事情を説明して
・徴収できていなかった1~11月の所得税額(甲欄と乙欄の差額)をどう徴収するか考えてもらって
・そのうえで1月や2月の給与で所得税を追加で徴収する
という手間が必要になってしまうのです・・・。

一応抜け道もある

仕事上、付き合いのある某税理士は私の困惑を耳にしてこう教えてくれました。

「乙欄、年調未済」とだけ源泉徴収票に記載して、あとはご本人の確定申告で処理してもらうという方法もあります。
これなら実質何もしなくていいのでラクですね。

とはいえ、これはあまりよいやり方ではないようです。
所得税の徴収方法というのは法律できちんと決まっており、会社はその法律に記載されたやり方を守らなくてはなりません。たとえその従業員の最終的な納税額が同じであっても、「会社が法律に則った方法で所得税を徴収していない」ということになるわけですから、このことを税務署が気づいた場合は何らかのペナルティが考えられるようです。例えば税務調査で立ち入りがあって、いろいろなミスを指摘されてしまうとか・・・。

どうすればよかったのか

そもそも、特別な待遇や肩書などで雇用している「いかにも他の仕事もやってそう」な従業員(例えばナントカ顧問、ナントカ特別監督者など)は、「他の仕事との兼ね合いで本当にうちの会社に扶養控除等申告書を提出する必然性があるのか、ないのか」をその年の1月給与計算を実行する前にチェックしておけばこんなことにはならなかったはずです。

でも後の祭り。こんなことが書けるのもただの後知恵でしかありません。
ああ、めんどくさ・・・。