なかなか人は成長できないものです。
一説によると本を読んで実行に移す人は1~5%、継続して行動する人は0.1~0.5%だそうです。

継続して行動したとしても、なにかしら壁に突き当たって挫折したり、いつの間にか飽きたり忙しくなったりしてフェードアウトしてしまうものです。

そうすると、100万部のベストセラーがあったとして、「いいこと書いてあるね」と実行する人は1万人、継続できる人は1,000人。

そこからさらに「ちょっと仕事で手一杯」などの理由で辞めていく人が7割いると仮定すると、100万人のうち300人しか実行し、継続できていないということになりますね・・・。

これって司法試験合格率より低いんじゃ・・・。

gekikara


なぜ人は成長できないのか

なぜ人は成長できないのか、そもそも実行に移すことができないのか。
人類が似たような失敗を何回も繰り返してしまうのは・・・、「歴史は繰り返す」という言葉があるのは・・・、このあたりが関係しているのかもしれませんね。

日新公いろは歌をご存知でしょうか。
「日新公いろは歌」とは、島津家中興の祖で、薩摩の戦国武将・島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし)が完成させたとされ、薩摩藩の「郷中(ごちゅう)教育」の基本の精神となったといわれる47首の歌です。

第一首は、「いにしへの道を聞きても唱へても わが行に せずばかひなし」。

正直耳が痛い言葉ですね。これがいろは歌の冒頭に登場します・・・。

どんなにありがたいお話を聞いても、「今日からやります!」と宣言しても、自分の行いに反映されなければ何の意味もない。
しかも三日坊主ではだめで、よい心がけ・行いは自分の習慣として完全に体に植え付けられているべきものです。たとえば歯磨きのように・・・。

ではどうしたら自分の習慣にできるのか。

・・・ここまで考えたときに思い出したのは、今や日本を代表するヴァイオリニストである諏訪内晶子さんの子供時代。

彼女は幼い頃からヴァイオリンの練習に励んでいましたが、子どもの頃は歯磨きをするということとヴァイオリンの練習をするということが一つの行動サイクルとして日常の中に溶け込んでいたようです。

三歳でヴァイオリンの練習を始めたときも、リズミカルに楽しく練習をする習慣をもった記憶がある。三度の食事のあとに、歯磨きし、必ずヴァイオリンを手にした。この三つの作業がセットになっていて、一日にヴァイオリンケースのふたを少なくとも三度開けることになったのである。

(『ヴァイオリンと翔る』より)

小学生のころの夏休みは午前中に塾、昼に近所の総合グラウンドのプール、昼寝のあとにヴァイオリンを弾くというサイクルをキープしていると、「一日くらい別のことをしたらどうだろう」という邪念が差し込んでくるものの、あえてこのサイクルを守り続けてひと夏を過ごしてみると、やり遂げたという安堵感と自信が湧いてきたそうです。

考えてみると、毎日のリズムが決まっていると、「今日はいつ、なにをしよう」という決断疲れを避けているわけですから、行動コストがとても低いことを意味しますね。

ジョブズの服が毎日同じだったのはとても有名です。これは、何を着るべきかという決断つまり脳への負担をカットしていたのと同じですから、この記事で書いているように、メンタリストDaiGoさんが言う「ウィルパワー」の節約につながっています。

言うなれば、「大事なことは仕組み化しておくと、何の苦もなく実行できるようになる」ということであり、それが私たちの成長につながっているということでしょうか。

思えば私自身もヴァイオリンの練習(諏訪内さんのように弾けませんが)しかりジョギングしかり、何のためらいもなく続けられているのは一日のルーチンの中に完全に組み込んでいるからですね。

大事なことは絶対に毎日のサイクルの中に入れておくこと、やはりこれが大事ですね。
まあ、間違った努力を継続しても成長しないのも事実ですけど・・・。