ふと目についたネットニュースで、「芸能界引退が惜しいと思う人」という投票を見つけました。

投票は2020年11月23日~29日で、私がこれを見たのは11月24日ですが渡辺麻友さんが2位以下を大きく突き放して1位。

彼女が引退を表明してからおよそ半年が経過しようとしてますが、その可能性はほぼないとはいえ今も芸能界へ舞い戻ってくることを待ち望む声が小さくないことが読み取れ、ここに私と同じく彼女が舞台にかけた情熱、お客さんへ最高のパフォーマンスを見せようとする真摯な姿勢に共感する多くの人の姿を確認し心動かされるものがありました。

投票結果(途中経過)を閲覧すると、様々な声が。

ルックスも声も立ち居振る舞いも完璧で、歌も上手で、AKB48のメンバー時代は完璧なアイドルを貫き、特別な存在感を放っていました。グループを卒業後は、ミュージカルの舞台に立ったり、NHKの朝ドラに出演したり、女優として評価されてきた矢先の引退だったのでとても残念に思います。もっと女優として、たくさんのドラマや映画で活躍する麻友さんを見たかったです。

AKB卒業後、女優として活躍し今後が大変楽しみで、演技も幅が有り息の長い活躍を期待していました。無いとは思いますが、再登場したら全力で応援します。

娘がファンで握手会にもコンサートにも連れていった。数多のメンバーの中で1人だけ輝きが違った。立ち姿、目線の配りかた、生歌も上手かった。 娘はとうの昔にAKBを卒業したが、私は隠れてずっとファンだった。舞台も見に行った。品のある良い女優さんとして長く活躍していくと思ったのに、残念極まりない。

遠山の金さんの演技は素晴らしかった 若いのに時代劇に合っていると思いました もう観られないのはとても残念です

いずれも、彼女が歩んだ道が芸能人として、アイドルとして、女優として非の打ち所がないものだったからこその感想だと言えるでしょう。

私は最近、NHK大河ドラマ『麒麟が来る』で脚光を浴びた明智光秀の三女、細川ガラシャの辞世の句を知りました。それは、「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」。
「花は散る季節を知っているからこそ、花として美しい。 私もそうありたい」、そういう意味が込められています。
この句が胸に迫るのは、夫細川忠興のことを思い、石田三成に人質に取られまいとする決意もさりながら、まだこの先の人生が十分残っているにもかかわらず思い半ばにしてそれが断ち切られることになってしまった悲劇性ゆえと言えるでしょう。

若い才能がこれから約束されていたはずの未来に向かうことがかなわず、心ならずも別の道を歩ませるようなことはあってはならないことですが、渡辺麻友さんもまた健康上の理由であまりにも唐突に私たちの前から姿を消すことになりました。

それが人であれ、物であれ、大切なものは私たちが思っているよりもずっと早く、しかも不意に「散りぬべき時」を迎えてしまうものです。
思いがけない別れに接し、彼女の潔い選択がかえって名残惜しくも美しく感じられてしまったのは自分だけではないことを今回の投票企画で改めて知り、私はまた『アメリ』や『なつぞら』を思い返してなんとも言い切れない感情を覚えてしまうのでした・・・。