本番のたびに緊張するのは誰しも同じことだと思います。かくいう私自身、何回練習を繰り返してもやはり舞台には魔物が潜んでいるとしか言いようがない・・・、そういう気持ちになることがあります。

「人目に晒されている」という実感があると人はとたんに動作が固くなったり、失敗してはいけないという気持ちが逆に失敗を招いたり。本番というのはろくなもんじゃありません。人に聴いてもらってこそ音楽なんですけどね・・・。

私はヴァイオリン演奏の本番のたびに右手がプルプルと震えてしまうという、ヴァイオリニストとしては致命的弱点を抱えています。
でもどうしてそんなことに・・・。

先日の本番でもやはり右手が震えて弦の上で弓が微妙にバウンドし、音が汚くなるというありがちな事態に陥ってしまいました。
でも今回は「ああ、震えているな・・・」と半分客観的に自分の体の状態を見つめることができ、「なぜ右手が震えているのか」という自分なりの原因を自覚することができました。

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ヴァイオリン演奏の本番で右手が震える原因。そもそも足が震えている

私の場合はそもそも足が震えているというのが原因でした。

足が震えている=地震が発生しているのと似たような状態になります。
建物で言えば基礎の部分が揺れているわけです。

そうなるとその揺れが体の上に伝わってきて、結果的に右手にも揺れが伝わり、弓にも伝わり、弦の上で弓がバウンドし、音が震える・・・。こういう因果関係を自覚することができました。

演奏しながら「これではマズイ」、そう思って足の重心を変えるとその瞬間に体が傾いて音もガクッとなったのも重要な教訓だったと思います。

ではどうして足が震えるのでしょうか? 緊張しているからに決まっていますよね。

私は仕事柄、100人以上の人を前にして色々なことをしゃべる時があります。
ただ事前に準備した原稿を読み上げるだけの作業でしかないのに、それでも初めてのときはやたらと緊張して言葉が早くなってしまったり、語尾をいい加減に省略してしまったりと反省点だらけでした。

理由は、単に慣れていないことをやったから。これに尽きます。
要するに自分が本番慣れしていない=本番経験数が少ないからです。

つまりヴァイオリン演奏の本番で足が震えるのは、本番の経験数が少ないからであり、さらに言うと失敗することを必要以上に怯えているからだと思います。正直、誰も私の演奏なんて聴いちゃいないのに・・・。


「練習ばかりしていると、本番なしの人生になる」。
この言葉を胸に、本番の機会を積極的に求めなくては。
改めて決意しました。