2020年11月のある日、ペガサス書房吉祥寺店を訪問しました。



たまたまヴァイオリンを吉祥寺で演奏する機会に恵まれた私は『戦う! 書店ガール』のロケ地となったジュンク堂書店吉祥寺店にも足を運びました。

ここが、5年前渡辺麻友さんが撮影をしたというあの書店か。
このレジであの会話が。
エスカレーターほとりのエリア。ここであの女子高生たちが亜紀に土下座を迫った。
文芸書、学習参考書、児童書、そしてコミック売り場・・・。ペガサス書房の書店員たちが心を一つにして守りたいと思った「場所」はまだここにありました。
撮影の多くは夜中に行われ、渡辺麻友さんは昼にアイドルとしての仕事、夜にドラマ収録と、後に「忙しすぎて思い出せない」と語るほどだったとか。

ペガサス書房というのはあくまでもドラマの中のお話であり、すべてフィクションではあるもののやはり渡辺麻友さんの「聖地」に踏み入った以上、どうしても深い感慨を覚えずにはいられませんでした。

memory


人間は記憶の生き物である

5年前、自分はこうしていた。渡辺麻友さんはこの番組に出演し、シングルCDを発売し・・・。
そして2020年になり突然の芸能界引退表明。

渡辺麻友さんのコンテンツは今後増えることはありませんが、彼女が残した理想ともいえるアイドル像に憧れて芸能界を目指した人材もまた数多くいるのも事実です。

私たちは書店で本=先人たちの言葉を手にすることができ、彼らが後世に伝えてくれた数多くの教訓、経験、知識をひもとき、その記憶をわがものとし、さらには後世へ継承することができます。いま私たちが自分のものと思うほとんども過去からの借り物であり、それを次世代へ受け継ぐ責任があります。人間は記憶の生き物であると言わずしてなんと言うのでしょうか。

かつて渡辺麻友さんが胸を高鳴らせ、あるいは疲れた体を引きずり、あとワンシーン、あとワンシーンをと撮影に臨んだであろうペガサス書房(ジュンク堂書店)吉祥寺店は「書店」という業態が斜陽でありながらも今なお健在であり、ここでは亜紀が何度もページを繰ったエンデの『はてしない物語』を始めとする数々の「先人たちの言葉」が私たちを待っています。

吉祥寺へ足を運ぶことがありましたら、井の頭公園や数々のおしゃれなレストラン、ショッピングだけでなく、ペガサス書房もお忘れなく・・・。きっと素敵な本とのめぐりあいがあなたを待っているはずです・・・。