本番が近づけば近づくほど、いろいろなところがかえって気になるものです。

ヴァイオリンの場合、無伴奏曲を除くとピアニストがいないと音楽として成り立ちません。
でもピアニストは自分の召使いではありませんから自分の都合で伴奏をしてくれるわけではありません。

そもそもピアノをやってる人って、「ショパンが好き」「ラフマニノフが好き」「フィギュアスケートの〇〇選手の曲を弾きたい」的な人が多くて、「弦楽器奏者の伴奏をしたい」という希望を持っている人はまずいないでしょう。

音楽教室でも伴奏の仕方ってあまり教えてくれるものでもありませんし。

とはいえぶっつけ本番でピアニストと合わせると大抵うまくいきません。

仕方ないので、私はYouTubeにアップされている動画に併せて演奏してみると・・・。


得るものがすごく多かったのです。
なんでもっと早く試さなかったのか・・・。

クライスラー「ロンドンデリーの歌」を千住真理子さんの演奏と合わせてみたら発見が多かった



ピアニストがいないと、どこでどういうタイミングで入ったらいいのか・・・。
楽譜を見れば視覚情報としては理解できますが、いざ入るべきところでうまく体が動くかどうかは別問題。

で、仕方ないので千住真理子さん(とピアニスト丸山滋さん)の演奏に合わせてみることに。

すると、色々なことが分かりました。

1.当然ながら、どこでどういうふうに入ったら良いのか、はっきりとイメージを持つことができました。本番でピアニストとずれてしまうのは非常にかっこ悪いですが、本番までにピアニストと十分な練習時間を確保できないという現実があります。自分のテンポではなく千住真理子さんのテンポに合わせた伴奏ですが、そもそも千住真理子さんの演奏自体が奇をてらうようなものではありませんから、この演奏に合わせるだけでも十分練習になりました。

2.千住真理子さんはどこをどういうふうに工夫しているのか、動画に合わせることで伝わってくるものがありました。
具体的には、どこでテンポを速めているのか、それを元にもどしているのか。逆にテンポをどのタイミングでどれくらい落としているのか。強弱の付け方は。特定の箇所に差し掛かったとき、ヴィブラートはどれくらいかけているのか。

1番もさることながら2番は、自分で合わせてみて初めて知ることができました。
ただ聴いているだけではわからないことを体感することができました。

なにしろ動画に合わせて弾いているはずなのに千住真理子さんの演奏に先行してしまったり(そこでテンポを落としている)、自分の音だけが聴こえたり(そこで音量を落としている)、突如として輝かしくなったり(その箇所に差し掛かったらヴィブラートを増やしている)・・・。

自分で実際に合わせてみて初めて「プロはこういう工夫をしているのだ」ということを伺い知ることができました。

うーん、なんでもっと早くから試さなかったのか・・・。