ハロウィーンは、アイルランド語で「夏の終わり」を意味するお祭り「サウィン」が起源とは知りませんでした。



ハロウィーン - スリルと戦慄、そして脅かし合いをして楽しむ季節です。皆が大好きな恐怖のお祭りがアイルランド発祥だと知っていましたか? ハロウィーンの歴史は、異教徒たちが暮らしていた2000年以上前のアイルランドまで遡ります -アイルランドいにしえの東部の懐で、冬の始まりを祝う古代サーウィンの祭りが行われていた時代です。

ハロウィーンはこの世とあの世の境目が最も近づく時期で、幽霊や悪霊が2つの世界を簡単に行き来できると言われています。ですから、是非ハロウィーンにアイルランドを訪れて、奇妙で恐ろしい旅を体験してください。
(アイルランド政府観光庁HPより)

この世とあの世の境目が最も近づく・・・、日本で言えばお盆に当たるでしょうか。

夏が終わって一気に冬になるということは秋が短いということでもあります。
緑が芽吹く春になり、花が咲き乱れる短い夏が終わり、すぐに一枚一枚と花びらは色を失って舞い落ちる・・・。そういうかなしさも秘めているように思えてなりません。

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もののあはれを感じさせるアイルランドの夏

アイルランド民謡「夏の名残のバラ」。明治時代には文部省唱歌「庭の千草」として訳されています。

庭の千草も。むしのねも。
かれてさびしく。なりにけり。
ああしらぎく。嗚呼(ああ)白菊(しらぎく)。
ひとりおくれて。さきにけり。
二露(つゆ)にたわむや。菊の花。
しもにおごるや。きくの花。
あああわれ あわれ。ああ白菊。
人のみさおも。かくてこそ。

この名旋律にヒントを得て、ベートーヴェンやメンデルスゾーンを始めとする様々な作曲家が作品を発表しています。



Tis the last rose of summer,
Left blooming alone;
All her lovely companions
Are faded and gone;
No flower of her kindred,
No rosebud is nigh,
To reflect back her blushes,
Or give sigh for sigh.
(夏の名残のバラが一輪だけ咲き残っている。
仲間たちはすでに色あせ、散ってしまったのだ。
同じバラも、蕾すらも何一つ残っていない。
その赤い花びらを映しあい、ため息を交わし合う仲間たちも・・・。)

I'll not leave thee, thou lone one!
To pine on the stem;
Since the lovely are sleeping,
Go, sleep thou with them.
Thus kindly I scatter,
Thy leaves o'er the bed,
Where thy mates of the garden
Lie scentless and dead.
(お前をひとりにはさせない、茎のうえで思い焦がれるままには。
いとしい仲間たちは眠りについたのだから、ともに目を閉じるがいい。
私がお前を手折って、庭の仲間が香りもなく散っていった地面に横たえようではないか。)

So soon may I follow,
When friendships decay,
And from Love's shining circle
The gems drop away.
When true hearts lie withered,
And fond ones are flown,
Oh! who would inhabit
This bleak world alone?
(すぐに私も後を追うだろう・・・、
友情が朽ち果てて愛の輝かしい円居から
宝石がこぼれ落ち、心を寄せた仲間がいなくなったとき
誰がこの凍えるような世界に残るだろう?)

この詩には散りゆくバラに寄せて、自分の周りから一人、また一人と大切な人が失われ、自分だけが残ってゆくさまが歌われ、この世に生きる寂しさと人間の世の儚さ=日本人でいう「もののあはれ」を感じさせるものがあります。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で人が集まること自体が不安視されていますが、そもそも人は誰かとともに交流をすることに喜びを感じる生き物でもあります。
日本ではハロウィーンの本来の意味が省みられることはなく、ただの仮装祭りになってしまいましたが
アイルランドの短い夏に思いを馳せ、もう会うことができなくなった大切な人のことを思い返すのも悪くはないでしょう。「会う」「交流する」のは必ずしも生者でなくても良いのですから・・・。