重厚長大だと思っていたエンデの『はてしない物語』は大人になってから読んでみると割とサクサクと読み進めることができます。


2日めは第5章~第7章までを読みました。

最初に読んだのは中学生のときで「ああそうかな」と思いながらページをめくっていたものの、大人になって改めて本に目を通すとかなり切迫感があることに気づきます。
・・・というか、中学生のときも同じことを感じ取っていたはずで、でもそのことを明確に言語化できていなかったのでしょうね。

この記事を読んでくださっている方はすでに『はてしない物語』を知っている、読んだことがあると思いますので詳細は省きますが、ファンタージエン国を統治(といっても権勢を振るうわけではないが)する女王幼ごころの君が病に倒れ、国中がひたひたと虚無に侵食されて消滅しているのでした。

アトレーユは女王を癒やし、同時に国を救う方法を見つけ出すという使命を背負ってたどり着いたのが南のお告げ所。

3つの門をくぐった先にいたのは、ウユララ。実体はなく、声だけがアトレーユに語りかけ、ファンタージエン国の外にいるはずの「人間」が女王幼ごころの君に新たに名前をつけることが再び健やかな体に戻す唯一の手立てだと告げます。

しかしこの時点ですでにウユララも虚無に侵されつつありました。
(アトレーユは)立ちあがり、四方を見はるかしてみた。すると、視野の中に一か所、そこからあまり遠くもないところが、前にハウレの森で目にしたと同じようになっているのに気づいた。しかも、今度はあのときよりずっと近くだった。アトレーユはさっと背を向け、反対の方向へ全速力で走った。
物語はこの後「妖怪の国で」「化け物の町」とおどろおどろしさを増してゆきます。

ここまで読んでみると、『はてしない物語』もドラマをしっかりと構築して書かれていることに気づかされます。

ファンタージエン国に危機が迫り、じわじわと情勢が悪化してゆき、ついには国のほとんどすべてが消失し、一粒の砂だけが残る。そこからバスチアンがもう一度ファンタージエンを再生させ、しかしバスチアン自身は少しずつ記憶を失い・・・。最後にかつての親友アトレーユとフッフールがバスチアンに手をさしのべて・・・。

つまりは崩壊→再生→再び(別の意味での)崩壊→帰還(→そして別の誰かがまたファンタージエンにいざなわれる)という見事なサイクルを描くようになっているわけです。
そういえばアウリンも二匹の蛇がお互いの尾に噛み付いて円を形成していました。

うーん、下手すると人生最後の『はてしない物語』になってしまうかもしれず、もっとゆっくりしたペースで読むべきなのに、先が楽しみです・・・。