ミヒャエル・エンデの代表作『はてしない物語』。
初めて読んだのは中学1年生? の冬のこと。叔母が「いい本だから」と言って買ってくれたのを思い出します。
中学生のときはとりあえず「面白い本だった」「感動した」で終わってしまいますがおとなになって読み返すとまた違った感慨や気づきがあります。
エンデ『はてしない物語』の装丁から伝わる本への愛着
英語版のペーパーバックだとほんとにただのペーパーバックなのですが(読んだことがあるので本当です)、岩波書店から発売されているハードカバー版の『はてしない物語』はどうでしょう。重厚な箱入りで、表紙にはしっかりと互いの尾を噛む蛇が・・・。そう、アウリンです。
こういう立派な装丁は、本を読む楽しみを加速させてくれますし、この本で育った少年少女たちはその後もずっと読書というものの歓びを忘れることはないでしょう。
本文は二色刷りで現実世界は茶色の活字、ファンタージエンの出来事は緑色の活字で色分けされており、やがては主人公バスチアンが物語の中へ入るとずっと緑一色になります。
渡辺麻友さん主演の『戦う! 書店ガール』でも彼女が演じるヒロイン北村亜紀の愛読書でもあります。
ぼっち@3_bocchiこれはミヒャエル・エンデの『はてしない物語』ですね。
2020/08/26 22:07:54
本好きな人は必ずどこかで巡り合う一冊で、久しぶりに読み返したくなる・・・。
この本を選んだ演出家も目のつけどころがいいですし、渡辺麻友さんの本への自然な愛情が伝わってくる眼差し… https://t.co/6vZxiRCjRE
渡辺麻友さんの目がキラキラしているのがわかりますか? 読んだことがない人はちょっとわかりにくいのですが、『はてしない物語』はすべてのページからむせ返るほどの物語の楽しみが伝わってきます。
ナチュラルに怖いことが書いてある!!
日本語訳の力づよさもまた魅力でしょう。
大人になると幻想文学からは遠ざかりがちですが、読んでみたら読んでみたでナチュラルに残酷なことが書いてあるのです・・・。
女王幼ごころの君を助けるための旅に出たアトレーユは、あるとき幸運の竜フッフールが群集者イグラムールの罠にかかったところに出くわします。彼がフッフールを見つけた時、すでに竜の命運は定まったかに見えました。
馬を失っていたアトレーユはどうしても交通手段としてこの竜が必要でした。
女王幼ごころを救うためにフッフールを解放してほしいとアトレーユはイグラムールに呼びかけます。
すると・・・。
「そうはいかんよ、二本足のアトレーユ。おれたちは南のお告げ所のこともウユララのことも知らないがね、この竜がもうおまえを乗せることなどできないのはたしかだ。またたとえ竜が傷を追っていなかったとしても、おまえらの旅は長くかかるから、その間に幼ごころの君は病に打ち負かされてしまうだろう。二本足のアトレーユよ、おまえの探索はおまえの命の長さではなく、幼ごころの君の命の長さが問題じゃないかね?」
こんなふうに生きるの死ぬの、虚無に打ち負かされて存在が消えてしまうといった話が繰り返し出てきます。しかもこの会話は主人公バスチアンの母の死の記憶と密接に結びついていて、何度も母の思い出と精神的にぬけがらになってしまった父の姿が描写されるのでした・・・。
私はまだ全体で600ページのうち100ページほどしか読んでいませんが、引き続き気づいたことをブログ記事として書きとめておきたいと思います。
なにしろ次に読み返すのはいつなのか、もしかしたら人生最後の『はてしない物語』かもしれませんから・・・。
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