生駒里奈さんが質問に次々と回答していく動画が公開されています。

このなかで、渡辺麻友さんについても言及しています。




「これまで出会った中で、勝てないなと思った人物」について聞かれると、「渡辺麻友さんかな」。「あの人のおかげでアイドル頑張ろうって思えた」。(動画では3:49辺りから。)

これを見ていると、どう文化が継承されていくのかの一端が明かされているようにも思えました。

無形の文化はどう継承されていくか

有形文化財の場合は、建造物、彫刻、書物など。京都や奈良に行けばたくさんの寺社仏閣がありますね。こうしたものは絶えず修復作業を実施することで次世代へ受け継ぐことが可能になります。
一方でパリのノートルダム大聖堂や沖縄の首里城のように事故であっという間に焼け落ちて失われてしまうことも・・・。

では無形の文化・・・、つまり音楽だったり舞踊だったり、渡辺麻友さん、生駒里奈さんが携わった(元)アイドルのような芸能文化はどう継承されてゆくのでしょうか。

生駒里奈さんの言葉から伺われるのは、「勝てない」という表現から読み取れるように渡辺麻友さんと自分との開きを感じたということであり、言い換えると間近でそれだけまじまじと彼女の姿を見ていたということです。

ご存知のように渡辺麻友さんは直接的な言動で誰かを指導するというタイプではなく、一心に物事に打ち込むストイックな姿を見せることで他人からの尊敬を集めていました。

渡辺麻友さん自身もとくにアイドルとしてのキャリアの中盤ごろからは宝塚を意識するようになり、「見せ方」はそこから学んだことは想像に難くありません。

つまり、宝塚 → 渡辺麻友さん → 生駒里奈さん → (後進の芸能人)という文化的継承(影響関係?)は、「この人は素晴らしい」「憧れている」「自分もそうなりたい」「追い越せるかどうかは分からないけれど」という当事者たちの強い思いによって成立していると考えることができます。

私達の生きている現代に伝わる「文化」は、自分たちの時代だけの財産ではなく、先人からの積み重ねがあってこそのものであり、自分のものと思うものの多くはただの「借り物」であることがほとんどです。だからこそ先人からの遺産を次世代へ継承してゆくことが私たちの責任であるとも思います。

自分なりの理解というか仮説でしかないのですが、渡辺麻友さんの魅力というのは宝塚との巡り合いをきっかけに開花したと考えています。
劇場文化の良さ、スターの表現方法といった伝統が渡辺麻友さんを経由して次の世代へ受け継がれてゆくことを切に願います(コロナ禍で劇場文化が危殆に瀕しているのは慚愧に堪えません)。

アイドル文化はどう変わってゆくのか、種が芽を出す時は来るのか

終わったと思われていたアイドル文化はAKB48の台頭により復活を遂げ、その後は似たようなグループの新規参入が相次ぎ、戦国時代になってやがてブームは下り坂になり、少なくなったパイの取り合い競争で人材が疲弊してゆく・・・。

仮想通貨なりタピオカなり、ブームというのは一定のサイクルがあるようですが、大ざっぱに言ってアイドル業界も似たような傾向ではないでしょうか。

移り変わりの激しいこの業界にあって、渡辺麻友さんが残してくれた種はどのように芽を出すのか、それとも時機を得ず花は開かないまま終わっていくのか・・・、私は何らかの形で前者となって頂きたいです。

こういうのをまさに蟷螂の斧というのかもしれませんが、渡辺麻友さんが残してくれたものの意味や価値について考えるブログ記事を更新することで、微力ながら文化の継承(←大げさ)に貢献したいと思います。