2020年春はどの企業も一斉にテレワークを導入し始めました。

それもそのはず、新型コロナウイルスに感染してはならじという社会の流れは押し留めようがなかったのですから・・・。

ところがその一方で謎のテレワークマナーというのも現れているようです。
本当に謎です・・・。

telework


謎のテレワークマナー

私が見つけたテレワークマナーで、謎だと思ったものは・・・。

1.アイコンが上司よりも上になると失礼。ウェブ会議には入りなおせ
これは会議室の座席で上座が決まっているようなものでしょうか。
でもGoogle MeetとかZOOMとかにもそういうのを求めるのは筋違いです。
どこに上司のアイコンがあってもいいじゃありませんか。

2.上司よりも速い回線は使うな
アホかと。

3.テレワークのための部屋を用意せよ
生活感を見せてはいけないらしいです。ワンルームに住んでる人だっているんですよ。

4.上司より先にログアウトするな
要するに上司より先に帰るなのオンラインバージョンのようですね。

5.カメラはONにしろ
意味不明。映像を使わなくてはならないときはONにするのもありですが、子供が乱入してくるようなときだってあります。そういうわけでOFFにしておきたい人だっているんです。


謎のテレワークマナーが流行ってしまう理由

なぜこうした謎なテレワークマナーが広まってしまうのでしょうか。
都市伝説かもしれませんが、日本の会社に限っては「ハンコは斜めに押せ」(お辞儀をしているように見えるから)という風習が金融機関に残っていたりするくらいですから、案外体育会系の文化が強い会社では本当に4番あたりは実在するかもしれませんね。

理由を考えてみたところ、思い出したのが日経新聞の2019/12/15付記事「世間は正しい パナソニックの「忖度」壊すプロ経営者」。

パナソニックで法人向けシステムの事業を担う社内カンパニー、コネクティッドソリューションズに社長として着任した樋口泰行さん。

樋口さんが目にしたのは同社に蔓延する内向き志向でした。

これを打破するためにオフィスで席を決めないフリーアドレス制や服装を自由にするなどいろいろなルールを設けました。
「日本企業が復活するためには風土を改革し、社員の意識、行動を変えないといけない」。樋口にとってパナソニックを含め、日本企業を最も的確に表す言葉は「忖度(そんたく)文化」だ。どんなに強く「変わる」と言葉にしても、言葉の外にある雰囲気ばかりにとらわれ、無言で順応していく負の「復元力」が日本企業からはどうしても拭えない。

実際、CNS社社長に就任して間もなく部下が上司に「週報」を提出する慣習を廃止するよう指示を出したが、半年近くたっても名前を変えて継続する部署があった。
記事からの引用のうち、赤字は私による強調です。

この負の復元力というのがミソで、せっかくZOOMのような新しいテクノロジーを取り入れても、「これまでこうやっていたから」という常識込みで新環境に対応してしまうのと、おそらく周りの人もそうするだろうという余計な気遣いをすることで「見た目は新しいのに、中身は元の木阿弥」という状態になってしまうのではないでしょうか。



上記ツイートの「向社会性」のくだりは『シャーデンフロイデ』という本からの受け売りでして、この本には忖度や結束力の高さに基づく日本人のよい面の裏返しとして「ルールから逸脱した奴・絆を重んじない奴はバッシングしてよい」というメンタリティになってしまうという衝撃の事実が明かされていました。

だから日本人っていじめとか村八分が好きなんですね・・・。竹槍訓練に参加しない人を非国民呼ばわりしたり、新型コロナウイルスにかかった人の実名を晒したり・・・。

再び、謎のテレワークマナー。謎マナーと戦う方法

謎のマナーは案外「空気」で生まれたものだったりすることもあります。
過去の文脈ではOKでも、新しいテクノロジーのもとでは意味がなかったり、それでも「空気」で継続してしまったり・・・。(日本的ですね。)

演出家・鴻上尚史さんは『「空気」を読んでも従わない』という本で、「空気」を打ち破る方法として今決まりつつある「空気」をはっきりと言葉にする「裸の王様作戦」を提案しています。

鴻上さんがワークショップを行うと、参加者の自己紹介が勝手に名前、年齢、出身地だけになってしまいがちになるそうです。
そんなとき、鴻上さんは・・・。

そういう時に「なんだか、言うことが『名前、年齢、出身地』だけになったけど、そういうルールですか?」と思い切って口にするのです。
間違いなく、みんなは首を振るでしょう。そしたら、「じゃあ、僕は好きな映画の話をしますね」と続けるのです。
そうすることで、「空気」は簡単に変わります。

こういう作戦を紹介してくださっています。

もし謎のテレワークマナーが流行りそうだったら、そんなマナーが嫌だったら、「裸の王様作戦」をやってみるのも一つの手ですね・・・。